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アフターコロナ : メディア業界は「未知の未知」の領域へ

4/5(日) 12:11配信

DIGIDAY[日本版]

2002年2月、米国主導の有志連合による侵攻の結果、イラクは混沌に陥り、当時の米国防長官ドナルド・ラムズフェルドは質問の集中砲火を浴びた。戦争の口実だった大量破壊兵器を、米軍はいつになったら発見できるのか? これに対するラムズフェルドの有名な返答は、いまこそ振り返る価値がある。「物事には既知の知、つまり我々が知っている自覚のある事柄がある。既知の未知、つまり答えはわからないが、存在には気づいている問題もある。しかし、未知の未知、つまり我々自身が知らないという事実にすら気づいていないこともあるのだ」

3月下旬の10日間、米DIGIDAYは複数のメディア幹部社員と会話を交わし、現段階の既知の未知と未知の未知を十分に把握することができた。既知の知はいくらでもある。新型コロナウイルスはビジネスに恐るべき損害をもたらし、それは何カ月も続くだろう。「9.11同時多発テロにリーマンショックを足したものの2倍」だと、元ピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)のリシャド・トバコワラ氏は、米DIGIDAYのララ・オライリー記者に語った。一部のパブリッシャーはとりわけ危機的状況にあるが、筆者が取材したかぎり、大部分は30%程度の売上減を予測している。

痛みをともなう大幅な予算削減が、まもなく必要になるだろう。あるCEOが言うには、多くのパブリッシャーはよそが先陣を切るのを待っている。「ニュース速報で悪しざまに言われたいとは誰も思わない」と、この人物は述べた。しかし、3月下旬の10日かそこらのあいだに、誰もが暗澹たる損益計算書に目を通し、いくつものシナリオを検討した。メディアビジネスは人で成り立っており、しかも資本集約的だ。支出削減による調整能力はほとんどなく、どれをとっても社員の給与に響く。多くのパブリッシャーが全面的な給与削減に踏み切り、(理想をいえば)幹部社員の削減幅が最大になるだろう。自ら報酬を返上し、社員の大部分の給与削減額を抑えたBuzzFeedのCEO、ジョナ・ペレッティ氏には拍手を送ろう。承認されたばかりの景気刺激策にも、労働者のレイオフに対する準備金が含まれており、パブリッシャーにとっては社員が被る損失を軽減する助けになる見通しだ。それでも、多くのパブリッシャーは深手を負うだろう。

「(予算削減を)やりすぎなくらいでちょうどいい」と、あるCEOは語った。「回復には時間がかかる。広告費はまっさきに削られ、戻ってくるのは最後だからだ」。

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最終更新:4/6(月) 6:21
DIGIDAY[日本版]

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