ここから本文です

気候変動に大きな危機感 立ち上がる若者たち

4/5(日) 7:21配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

 1992年、12歳だったカナダのセヴァン・カリス=スズキはブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議に出席した。当時、地球温暖化に関する科学的知識は理解され始めたばかりで、気候科学をけん引する国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」も、その4年前に創設されたばかりだった。世界の指導者は子どもの演説に耳を傾けることに慣れていなかった。

ギャラリー:グレタ・トゥーンベリさんをはじめ、立ち上がった世界各国の若者たち

 このときの演説により「世界を6分間、沈黙させた少女」として有名になったセヴァンは、破滅が迫っている感覚を子どもならではの鋭さで表し、若い活動家の先例をつくった。

 2019年9月に米国ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットでスウェーデンの活動家、グレタ・トゥンベリが怒りを口にしたとき、その内容はセヴァンの演説と驚くほど似ていた。この27年間、人類の存続に関わる脅威を阻止する対策は、何一つとられなかったと結論づけられても、仕方がないだろう。

 だが情勢は変わりつつある。30年前にはなかった異常気象が数と激しさを増し、世界は事の重大さに気づき始めた。2019年、人々は環境問題としては史上最大級の抗議活動を行った。

世界を揺さぶる若者たち

 若者は、数の力とソーシャルメディアの組織力をもち、行動を起こすのに格好の立場にある。世界の25歳未満の人口は、全人口の5分の2に当たる30億人以上だ。若者の活動は、人種問題から銃規制の問題までさまざまな運動に拡大しており、世界中を揺さぶった1960年代後半の社会運動とよく比較される。

 22歳のドイツの活動家、フェリックス・フィンクバイナーは9歳のときに運動を始めた。北極の氷が解け、餓死寸前のホッキョクグマが必死で獲物を探す写真に心を打たれたのだ。 ホッキョクグマを救おうと、フィンクバイナーは学校に木を植えた。現在は気候生態学の博士号取得を目指す一方、2007年に設立したNPO「地球のための植樹」を率いる。同団体は73カ国で800万本の植樹をし、1兆本の木を植える世界的な活動にも参加している。

 ノルウェーやパキスタンなど世界各地の法廷でも重要な運動が展開中だ。若者たちは気候変動への対策を求めて訴訟を起こしている。
 人権派弁護士で、米ラトガーズ大学法科大学院の客員研究員でもあるエリザベス・ウィルソンは、若い活動家たちが、自分たちの立場を築くのを目の当たりにしてきた。「大人たちが、今は客観的な事実よりも感情に訴える情報を重視する“ポスト真実”の時代だと、自分たちを納得させたのに対して、子どもたちが『私たちは事実を信じる。科学を信じる。あなたたちが話していることは“もう一つの現実”なんかじゃない。ただの嘘だ』と声を上げているのは、素晴らしいと思います」 

※ナショナル ジオグラフィック4月号「地球を守ろうと闘う若者たち」では、気候変動に危機感を持ち、行動を起こす若者たちを紹介します。

文=ローラ・パーカー/英語版編集部

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事