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川崎フロンターレ、三苫薫が追う「どの監督にも使われる」理想の姿。先輩や同世代からの刺激を力に【東京五輪世代の今(11)】

4/5(日) 13:04配信

フットボールチャンネル

 新型コロナウィルス感染拡大の影響でJリーグの再開時期が未定になり、東京五輪は今夏の開催が見送られることが決まった。思いがけずおとずれた中断期間に、東京五輪世代の選手たちは何を思うのか。川崎フロンターレでプロ1年目を戦う三苫薫にその胸中を聞いた。(取材・文:元川悦子、取材日:2020年1月30日および2月22日)

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●Jリーグで広がる新型コロナウィルスの波

 全国的な新型コロナウイルス感染拡大の影響でJリーグ再開時期が白紙に戻された。5月9日に照準を合わせることが決まっていたJ1の再開も同様だ。今後の動向しだいではリーグ戦の再開が6月以降になる可能性もある。

 今季からプロキャリアをスタートさせた新人選手にしてみれば、この事態は予期せぬものだったに違いない。「アカデミー時代を過ごした川崎フロンターレに戻って定位置を確保し、東京五輪代表入りを目指す」という明確なビジョンを掲げていた三笘薫にとっても誤算続きだろう。

 とはいえ、選手層の厚いフロンターレでレギュラーを掴もうと思うなら、試合のないこの時期にパフォーマンスを高めて、鬼木達監督に猛アピールを続けるしかない。

●「どの監督にも使われる選手に」

「僕は左のハーフかウィングで使われる機会が多いですけど、同じポジションに長谷川竜也さんだったり、齋藤学さんだったりがいる。学さんは日本代表を背負ってきた選手ですし、本当に厳しい戦いになりますけど、そこで勝つことができれば、自分が上のレベルに到達できる可能性が広がると思います。

そのためにも、個人でアタックして、相手を剥がせないといけない。ボールを持った時のプレーで人と違うところを見せていかないといけないと思うんです。加えて、今季のフロンターレが目指すアグレッシブなサッカーを実践するうえで、しっかりとした守備が求められてくる。

前からのハードワークっていうのは自分自身の大きな課題。そこに挑戦して、もっともっと伸ばすことができれば、攻守両面においてチームに不可欠な存在になれる。そんなイメージを持って、しっかりと練習に取り組みたいですね」

 三笘は冷静に自分自身を客観視している。2月22日のJ1開幕戦、サガン鳥栖戦を振り返ってみても、65分から同期の旗手怜央とともに出場し、凄まじい勢いで相手ゴールに向かい続けた。彼の言う「ボールを持った時の違い」はしっかりを示していたし、「守備のアグレッシブさ」も出そうと努力していたのは確かだ。

 けれども、肝心なフィニッシュのところで決め手を欠いた。やはりそこは真っ先に改善しなければいけないテーマだろう。

「数少ないチャンスをモノにすることはすごく大事。ゴール数とかの具体的な数字は定めていないですけど、相手にインパクトを与えるようなゴールだったり、アシストでチームの勝利に貢献できればいいのかなと思います。

自分は何でもできる選手になるのが理想。今のところはパスだったり、ドリブルだったりは自信を持っていますけど、シュート力だったり、スプリント力やハードワークに関してはまだまだ足りない。どの監督にも使われる選手にはなれていないので、早くそのレベルに達したいですね」

●同世代の海外組にも刺激を受けて

 フロンターレの鬼木監督に認められれば、東京五輪代表を率いる森保一監督にもより高い評価を得られるはず。そのうえで久保建英や堂安律、フロンターレ育成組織時代の1学年先輩にあたる三好康児ら欧州組の牙城を崩さなければ大舞台には立つことができない。その厳しさをインテリジェンスの高い若武者は誰よりもよく分かっている。

「同世代がどんどん海外に出て活躍してるのは刺激ですし、僕自身も小さい頃から海外でやりたいと考えていました。将来的に自分もそうなるためにも、フロンターレのプレーに集中することが重要ですよね。このチームは(中村)憲剛さんを筆頭に、小林悠さん、谷口彰悟さんと大卒の生え抜き選手の成功例が多い。僕にとっては心強いですし、参考にできる部分も多い。自分もいい先輩を見習って大きく成長したいと考えてます。大学4年間でサッカー選手としても、人間としても成長した部分があると思うし、そのアドバンテージをしっかり出せればチャンスはあると思います」

 再開後のJ1で頭抜けたインパクトを残すことができれば、三笘のU-23日本代表における位置づけは大きく変わる。新型コロナウィルス流行の影響で所属クラブでの練習機会を奪われている欧州組より恵まれている今の環境を最大限に生かして、自分自身を研ぎ澄ませていくこと。そこに集中するしかない。

 先行き不透明の現状だけに、メンタルとフィジカル両方のコンディションを高いレベルでコントロールするのは非常に高難度だが、持ち前のインテリジェンスを駆使して、三苫には苦境を乗り越えてもらいたい。

 そして1年後の東京五輪で彼を筆頭に、三好、板倉滉、田中碧といったフロンターレの育成組織出身者が揃って日の丸をつけることができれば、鬼木監督もクラブスタッフもファン・サポーターも大いに喜ぶことだろう。前を向いて進んだ先に、そんな明るい未来が現実になればまさに理想的だ。

(取材・文:元川悦子、取材日:2020年1月30日および2月22日)

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最終更新:4/5(日) 13:04
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