どこにでもいる女性でも気がつくと、その世界の『沼』にハマってしまうケースを紹介する同シリーズ。今回お話を伺ったのは、バンドマンの男性と付き合って苦労した「バンドマン」の沼です。
シオリさん(仮名・39歳)は海外セレブのようなゴージャスな見た目の女性。派手な髪色に派手なメイクで、露出の多い服を着ているため、なんとなく気が強そうな印象を受けます。
シオリさんの趣味は、メジャーデビューしていないバンドのライブを見ることでした。
当時シオリさんが派遣社員として働いていたのは、教育系の出版社。同僚には、ちょっとブリっ子だけど目の笑っていない仕事の出来ないTさんと、シオリさんと同じようにバンドの追っかけをしているYさんの2人がいたそう。
「Tさんのことが苦手だったので、3人でランチに出ても、Yさんと音楽の話をするようにしていました。Tさんは会話の主導権を握りたがる性格だったので、ぜったいに話をさせたくなくて。でもYさんとバンドの話をするのはすっごく楽しかったです」
シオリさんもYさんも、ワンシーズンに何回も音楽フェスに行っていました。お互いに自分が見たものの感想や観客の様子、混雑具合などを話し合うと、残業の多い日々の気持ちのささくれが取れていくように思えたとか。
「音楽の話ができるのは楽しかったけど、Yさんはヤバそうって思ってました。私はお弁当を持参したり、結構節約していたんですよ。でも、Yさんはチケット代にかかる分を節約しているようには見えなかったんです。ランチはいつも値段を気にしないし、買い物した話やタクシーに乗った話をよくしていました。いつだったか、職場の代表電話にYさんあての冷たい声の電話がかかってきたことがあったんです。Yさんはあわてた様子で携帯でこっそり折り返してて。あれはカードかなにかの督促だったんじゃないかな」
そのころ、シオリさんにとっての楽しみは、バンドを見に行くことと、飼い犬と遊ぶことでした。
「耳の大きなパピヨンでした。サブレっていう名前の。サブレはペットショップで一目ぼれして買った犬です。関東近郊の実家を出て一人暮らしを始めてから、ほとんどの時間を一緒に過ごしていました。恋人よりも恋人でした。メスでしたけど」
そんな愛犬サブレ、不幸にもあるとき病気になってぽっくりといってしまったのです。
「まだ13歳でした。若くはないけれど、まだ早いと思ったんです。しばらく立ち直れませんでした」
サブレとの別れの悲しみは、半年たっても癒えませんでした。仕事以外のほとんどの時間、なにをしていたかシオリさんは覚えていないと言います。
でも、それが幸か不幸か、どちらかわからないものを招いてしまったのです。
「彼氏ができたんです。年下の」とシオリさんはたばこをくゆらしながら微笑みます。
「バンドでドラムやってる人だったんです。バンドマンと付き合うのは、これで3人目くらいでした」
バンド好きの彼女にバンドマン彼氏。昔からよくあるパターンです。売れないか、売れたら捨てられるかという話も昔からよく聞きます。
シオリさんの彼氏は、ちょっと「ヤバい人」だったようで……。
「付き合っている間、わたしの部屋に彼氏は一度も泊まったことがありませんでした。毎日のように来ているし、残業する日は合い鍵で部屋に入って待っていましたが、泊まりませんでしたね……」
それは一体どういうことなのでしょうか?
「ええ、しょっちゅう会っていました。彼は若かったし、わたしも会いたかったし。でも、ライブだって毎回行っていたわけじゃなかったんですよ。だって……」
シオリさんはすこし言いよどみつつ、言葉をつなげました。
「嫁が来るときには行きませんよね。会いたくないもん」
売れないバンドマン、しかも既婚者……!?続編に続きます。
最終更新:4/5(日) 15:05
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