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選手からも「本当にやるんですか?」 競泳「東京五輪代表選考」開催はなぜ揉めた?

4/5(日) 6:00配信

文春オンライン

 突然の“方針ターン”に、日本競泳界が揺れている。

 競泳の東京五輪代表は、4月2日から開催予定の日本選手権での“一発勝負”で決定するはずだった。だが3月24日、新型コロナの世界的流行により、東京五輪の1年程度の延期が決定。これを受けて、日本水泳連盟は3月25日の17時から、臨時の常務理事会を開催した。

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「本番1年前に代表を決めてしまうのはさすがにリスクがあると、選考を延期すると見られていました」(水連関係者)

 そこに、思わぬ“横やり”が入る。

「本来は出席できない平井伯昌日本代表ヘッドコーチも招かれており、『現場はやりたい』『ここで(代表を)決めてもらわないと、強化の責任が持てない』と訴えたのです。それで『コーチや選手がそう考えているなら』と理事会の流れが変わりました」(同前)

 理事会終了後の19時、水連の坂元要専務理事は、予定どおり日本選手権を決行すると発表。理由を「選手、指導者の皆さんの強い要望があった」と明かした。

 だが、思わぬ展開が。

「20時過ぎ、小池百合子都知事が緊急記者会見を開き、週末の外出自粛を要請。そこで改めて青木剛・水連会長と坂元専務理事が話し合い、『さすがに無理では』となったのです」(同前)

平井ヘッドコーチが開催を望んだ理由

 加えて「想定外のことが起こった」と一般紙五輪担当記者が語る。

「シドニー五輪代表で水連アスリート委員長の萩原智子さんが強行について『正直、この決定に驚いています』とSNSにアップ。続けてロンドン、リオ五輪代表の松本弥生は『選手は、オリンピックの代表権がかかっているので簡単に中止して欲しいとは言えないんです。本当に命の危険を晒してまで、今、代表を決める必要があるのでしょうか』と異議を唱えました」

 リオ代表の持田早智も「本当にやるんですか? トップ選手からの声とは誰の何人の声なんだろう」と疑問を呈したことで、

「水連上層部が『現場はみんなやりたいわけじゃないのか』と悟ったのです。実際、選手の一部はボイコットする可能性もありました」(前出・水連関係者)

 結果、開催強行を発表した約3時間後の22時過ぎ、急転直下、日本選手権の中止が決まったのだ。

 だが、なぜ平井ヘッドコーチは開催を望んだのか。

「平井ヘッドは2月中旬から萩野公介ら直接教えている選手とスペインで高地合宿を行っていたが、強化が順調だったようです。教え子の中には『大会がなくなってショック』と言っている選手もいる」(前出・記者)

“水面下”の戦いは、後味の悪さを残して決着した。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年4月9日号

最終更新:4/5(日) 6:00
文春オンライン

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