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コロナで平日運休……それでも静岡の“秘境路線“がSLを走らせ続ける理由

4/6(月) 6:00配信

文春オンライン

 東京から東海道新幹線「ひかり」に乗って約1時間。静岡駅からは在来線に乗り継いで30分ほど揺られると、金谷という小さな駅に着く。ホームの先はすぐにトンネルになっていて、駅舎の裏側は急な崖。お茶づくりでその名轟く牧之原台地の縁にある小さな駅だ。この、とりたてて交通の要衝とも言えなさそうな駅から分かれているのが、大井川鐵道である。

【写真】静岡の“秘境路線”のSLと「絶景駅」の写真を見る(18枚)

 大井川鐵道といえば、鉄道ファンでなくとも知っている人は多いだろう。蒸気機関車が平日も含めた“ほぼ毎日”走っている日本で唯一の鉄道路線(現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のために平日は運休中)だ。豪快に煙をあげて、シュッポシュッポと音を鳴らして走っていく蒸気機関車。大井川鐵道では4両ものSLを保有して、約半世紀に渡って運転を続けている。

究極のローカル線になぜSL?

 大井川鐵道が走っているところはなかなかすごいところである。地図を見ればわかるが、市街地といえるようなところがあるのは起点に近い金谷~五和間ぐらいなもので、その後はほとんどひたすら大井川沿いのわずかな平地を縫うようにして走っていく。途中で大井川を何度か渡ったりしながら、小さな平地では茶畑の横をゆく。静岡らしいといえば静岡らしいが、ある意味“なにもないところ”を走っている路線なのだ。そんな究極のローカル線にどうしてSLが走っているのだろうか。

「ウチがSLの運行を始めたのは1976年7月9日。国鉄からSLによる旅客列車が消えたのが前年の12月ですから、それからたった半年で本格的なSL列車を走らせた。SLの火を絶やさずに灯し続けてきたのは、私たちなんです。SL運転のリーダー、文化と技術を後世につないでいるという自負はみんな持っていると思いますよ」

 こう話してくれたのは、登録有形文化財にも指定されている新金谷駅の大井川鐵道本社で出迎えてくれた同社の山本豊福さんだ。

 今では北は北海道、南は九州まで全国津々浦々でSLが走っている。首都圏でもJR東日本が群馬で走らせているし、他にも東武鉄道、秩父鉄道、真岡鐵道がSLを駆く。最新鋭の電車ならば自動運転も視野に入ろうという時代にあって、前時代の“遺物”であるSLはすっかり人気の観光列車になっている。大井川鐵道は、山本さんが胸を張って言うように、そうしたSLの復活運転におけるリーディングカンパニーなのだ。静岡県の一介のローカル線が、である。

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最終更新:4/6(月) 17:57
文春オンライン

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