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「モノ消費からコト消費」では勝負にならない訳

4/6(月) 8:31配信

東洋経済オンライン

「くまモン」「相鉄」などを手がける、日本を代表するクリエイティブ・ディレクターの水野学氏。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』など多くベストセラーを執筆した著述家の山口周氏。いま最も注目される二人が「今の社会で何が価値になるのか?」をテーマに対談した共著『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』を上梓した。同書でビジネスとクリエイティブを繋げた発想法や働き方について語り合っている。前回記事に続き、本の一部を抜粋・再構成して紹介する。

かつて「役に立つという価値」を作るのが得意だった日本企業は、これからどうやって生き残っていくのか。

■今こそ「モノ」の時代

 山口:「役に立つ」の競争でも、ある程度ローカルな産業は案外、持ちこたえています。代表的なのは、運搬コストがかかるもの、例えばガラスや陶器というモノは重くて嵩張って単価が安いので、動かすコストのほうが大きくなってしまいますよね。そこで「ローカルで作ったほうがいい」となり、分散化しているんです。

 水野:その点から言っても、ウェブ、網業(前回参照)は一番厳しいですね。動かしているのが電子なので、物理的に一番軽い。

 山口:自動車や家電は「動かすコストが高すぎるからドメスティックに」というガラスと、「動かすコストがゼロに等しい」というウェブの中間にあると思います。だからまだある程度、その国ごとの企業が生き残れる余地があって、Googleほどの収斂は起きていないのでしょうね。

 アスレチックの例を出せば、日本のプロ野球は一軍登録選手が300人ぐらいいて、彼らは食べていける。それどころかかなり裕福な暮らしができます。

 水野:確かに、100メートルのスプリントでは、世界ランク100位でさえ食べていけないのに、国内で300人ってすごい。競技自体の人気というだけでは説明できないですね。この差って、山口さんはどう解釈しますか? 

 山口:野球はスプリントに比べて、物差しがはるかに複雑だからでしょうね。攻走守とか、いろいろな物差しがあって、「めちゃめちゃ打てるけど走れない」とか、「そこそこ打てて守りがすごい」とか、組み合わせで人それぞれの価値の出し方がある。つまり、物差しが複雑になればなるほどのみ込める人数が増えると思います。

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最終更新:4/6(月) 8:31
東洋経済オンライン

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