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ヤッホーブルーイング井手社長 無職の節約旅で自分探し

4/6(月) 9:18配信

日経doors

今、輝いているトップランナーにお金と人生、お金と仕事について聞くこの連載。今回登場してもらったのは、ユニークなクラフトビールで人気のヤッホーブルーイング社長の井手直行さんです。前編では、これまで歩んできたキャリアと、お金との付き合い方について聞きました。

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前編 ヤッホーブルーイング井手社長 無職の節約旅で自分探し ←今回はここ

後編 ヤッホーブルーイング井手社長 どん底時代に学びに投資

井手直行さんの あのときの1万円

「放浪の旅をしたときに使った生活費」

仕事を辞めて、放浪の旅へ。バイクのガソリン代は1日1000円ぐらい、食費は1日数百円で、これで何カ月持つかなと考えて使っていった。

●転職を経て自分探しの放浪の旅へ

日経doors編集部(以下、――) ヤッホーブルーイングに入社されるまでの経歴がユニークですよね。無職で日本を放浪されていた時期もあると聞きました。学校を卒業後はどんな仕事をされたんですか?

井手直行さん(以下、井手) 高専を卒業後にオーディオ機器の会社に入りました。昔から音楽が好きでオーディオ関係の仕事に就きたかったんですが、実際は、当時会社が力を入れていたコンピューター周辺機器のエンジニアのポジションに配属されて、5年働きました。僕が担当していた機器は世界シェアNo.1で、ちょっと天狗になっていたんでしょうね(笑)。

 この会社でいろいろやったし、次はやりたいことやろうと、環境アセスメントの会社に転職しました。ところが、入ってみると実際は泥臭い現場仕事も多く大変で、理想と現実のギャップを感じてわずか半年で辞めてしまいました。

―― その時点で、まだ25歳くらいですよね。その後は何をされたんですか?

井手 これから俺は何を仕事にしたらいいんだろうと、自分探しの旅に出ることにしました。バイクが好きだったので、バイクに乗って最低限のキャンプ用品とお米を持って、主に東北から北海道を旅したんです。

 旅をきっかけに何か見つけようという考えも甘くて、結局、数カ月旅をしてもやりたいことは見つかりませんでしたね。ただ、旅の途中で会った人たちにお世話になって、人っていいなあ、と。それに、自分は自然が好きなこともわかったので、おぼろげながら自然と人に関わる仕事がしたいと思いました。

●魚を釣って川で米を研ぐサバイバル生活

―― 収入のない状態で旅を続けていたら貯金もなくなりますよね。お金はどうしていたんですか?

井手 住んでいた部屋を借りたままにしていたんですけど、今あるお金でどれくらい借りていられるんだろうと考えると、7~8カ月だろうと計算しました。旅でもお金がかからないように切り詰めれば、そのくらいの期間は行ってこられるんじゃないかと考えました。

 旅の間は空き地を見つけてはテントを張って寝ていましたね。釣りざおも持っていたので、夕方になると寝る場所を決めて、川でイワナとかヤマメを数匹釣って枝に刺して焼きました。まとめて買ってあったお米を川の水で研いで炊いて、魚とご飯を食べるというサバイバル生活を数カ月送りましたね。

―― すごい! でも、当時はスマートフォンはないですよね。天気も方向も分からなくて大変だったのでは?

井手 大変でしたね。ある日、雨風が強くなっていく中、あぜ道でテントを立ててたらおじさんが声をかけてくれて、「おまえ、台風来てるの知ってんのか? そんなところで寝たら飛ばされるぞ!」って。

 「うちに来い」って言ってくれて、お風呂に入らせてくれてご飯も食べさせてもらって、家の裏の消防団の詰め所で寝ました。お金も食べ物もなくなりかけた頃、キャンプ場で仲良くなったお兄さんにお酒とかパンの残りを分けてもらったりもして、旅の途中で人の情けをたくさん受けましたね。見ず知らずの旅人に、こんなに優しくしてくれるんだ!って何回も驚きました。

―― お金がないことに不安はなかったですか?

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最終更新:4/6(月) 9:18
日経doors

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