日本人の父とタイ人の母を持つ写真家、野見山大地さんの連載「タイ 上から撮るか、下から撮るか」。ドローンによる空中撮影から水中での撮影まで、ひとひねりした視座の写真を得意とする野見山さんが写真と文章でお届けします。第12回はアーントーンです。日本ではなじみが薄い場所ですが、高さ93mの巨大な座仏をはじめ、実は魅力的な場所がたくさんあります。
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「金の器」という意味の名のアーントーン県は、首都バンコクから100kmほど北にあり、古都アユタヤに隣接しています。比較的小さな県で、人口も30万人未満です。日本人にはなじみが薄いですが、アユタヤから一足伸ばせば、タイ最大級の仏像が鎮座しているワット・ムアンをはじめ200カ所を超える寺院があり、実は魅力的な訪問地なのです。
ワット・ムアンには高さ93m、幅62mある、タイ最大級の仏像「ルアンポーヤイ」が鎮座しています。1991年から建設が開始され16年の歳月をかけて完成させた、比較的新しい仏像です。
日本の茨城県牛久市にある「牛久大仏」の高さは120mで世界一とされていて、それよりは小さいのですが、ルアンポーヤイは座った仏像としては世界一大きいと言われます。やはり座っている鎌倉の大仏が高さ11.3mですので、どれだけ大きいか想像できると思います。
タイ人にとって大切なタンブン(徳を積むこと)をここでするには、仏像の周りを右回りに3周するのですが、1周するのに3分ほどかかりますし、靴を脱いで歩くため、靴下をはいていくことを強くお勧めします。
ルアンポーヤイの指先に両手で触れると御利益があると言われています。爪や指の大きさにも圧倒されるでしょう。
ワット・ムアンの礼拝堂は鏡張りで、とても神秘的な空間です。私はタイで何百カ所も寺院を訪れましたが、鏡張りの礼拝堂はここ以外記憶にありません。鏡張りならではの摩訶(まか)不思議な感覚を体験できます。
ここには僧侶の即身仏(ミイラ)や多くの仏像も安置されています。
アーントーンの台所ともいえるスワパン市場は、バスターミナルからほど近い中心街にあります。肉、魚、野菜などが販売されていて活気がありますが、土産物などはほとんどないため観光客は見かけません。ただ、この土地ならではの食べ物があります。
市場の近くを流れるチャオプラヤー川でとれた新鮮な魚を使った料理は絶品です。アーントーンは中心部を出ると料理店や市場がなかなか見つからないため、ここで腹ごしらえをしてから散策するのもいいと思います。
(文・写真 野見山大地 / 朝日新聞デジタル「&TRAVEL」)
最終更新:4/7(火) 20:03
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