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緊急事態宣言による当面の経済悪化は経済対策では打ち消せない

4/7(火) 11:15配信

NRI研究員の時事解説

「医療崩壊」への強い懸念が背景に

政府は4月7日に、新型インフルエンザ特措法に基づく緊急事態宣言を発令し、8日から発効させる見込みだ。期間は5月6日までの約1か月となる。対象区域に指定されるのは、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7つの都府県となる。この地域の経済規模GDPの47.5%と、国全体の約半分にも達する(2016年県民所得計算による)。

首相は、宣言発令の狙いとして、「人と人との接触を極力減らし、医療提供体制を整えるため」と説明している。医療体制が患者への対応のキャパシティを超える、いわゆる「医療崩壊」への強い懸念が、緊急事態宣言発令の背景にあることをうかがわせる。

より強くテレワーク推進を要請するか

東京都や大阪府などでは、既に週末の外出自粛要請を強く打ち出しており、相応の効果が確認されている。問題は、平日の対応である。東京都知事は企業に対して、できるだけテレワークを進めることを要請している。しかし、現状ではそれほど強い要請ではないとの印象である。そのもとでは、緊急事態宣言が発令されても、平日の通勤者数はそれほど大きくは減らないかもしれない。

今後も感染者の拡大が続き、その原因の一つが、通勤者の通勤中あるいは会社での感染拡大にあるとの判断に至れば、東京都などは措置を修正し、より強いトーンで企業に対して社員のテレワークあるいは自宅待機を要請することになる可能性があるだろう。その場合には、経済活動への悪影響はさらに強まり、事態は欧米の状況に近付くのではないか。

7都府県で個人消費は6.8兆円減少

そうした事態も考慮に入れて、緊急事態宣言の発令が経済に与える影響を考えてみよう。当コラムでは既に何度も指摘しているが(「首都東京ロックダウン(都市封鎖)が経済に与える打撃」、2020年3月26日)、緊急事態宣言に基づいて東京都で強い外出自粛要請が出され、個人消費の約56%が減少するとの仮定で計算すると、1か月間で東京都の個人消費は2.49兆円減少し、日本の1年間のGDPを0.44%押し下げる計算となる。

一方、今回、緊急事態宣言の対象区域となる7つの都府県で同様に厳しい外出自粛制限が打ち出され、個人消費の約56%が減少するとの仮定で計算すると、個人消費は全体で6.8兆円減少することになる。これは1年間のGDPの1.2%に相当する、非常に大きな規模である。

さらに、緊急事態宣言が1ヶ月で終わらずにさらに延長される可能性、また、緊急事態宣言が終わっても外出自粛要請が続く可能性などは相応に高い。その場合、経済への悪影響はさらに大きくなるだろう。

ただし経済を悪化させることになるとしても、感染の拡大を抑制し、医療崩壊を回避することを通じて国民の健康と生命を守るためであれば、緊急事態宣言発令は正当化されることは言うまでもない。

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最終更新:4/8(水) 9:10
NRI研究員の時事解説

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