民主党地盤の大都市を抱える「ブルー・ステーツ」諸州に集中していたコロナウイルス感染が、一挙に共和党支持州「レッド・ステーツ」にも広がり始め、11月大統領選ともからみ、トランプ・ホワイトハウスが警戒を強めている。
「われわれは火急的速やかに、(感染者が急増する)ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカカット3州の“ホット・エリア”を隔離状態とする決定を下すことになるだろう」-トランプ大統領は去る3月28日午後、ホワイトハウス記者団を前に突然、こんな強硬措置を予告した。その直後にも自分のツイッターで「私は3州隔離を考慮中であり、まもなく決定する」と念押しした。
ところがこれを知ったニューヨーク州のクオモ知事は、即座に猛反発「何も聞いていない。大統領は我々に戦争を仕掛けるつもりか」と記者団の前で怒りをあらわにした。実はクオモ知事は同日午前、コロナウイルス感染予防医療器具不足問題で大統領と電話会談を終えたばかりだったが、その際には、隔離の話は全く話題に上らなかったという。
ニュージャージー、コネチカット両州知事も、大統領からは何の事前相談も受けていなかったとして、強い不満を表明した。
結局、数時間後には、3州のみならず経済界からの猛烈な反発にもたじろいだ大統領は、この方針を撤回、ツイッターで「ホワイトハウス専門チームおよび3州知事の勧告を受け、当該州間の旅行自粛措置を要請した。隔離は不必要になった」と軌道修正、失笑を買う結果となった。
だが、ご破算となったこの「隔離構想」には実は、伏線があった。
ホワイトハウスは、全米最大都市ニューヨークと隣接のニュージャージー、およびコネチカット3州(いずれも民主党知事)で猛威を振るい始めたコロナウイルス感染を重く見て、巨大通勤圏を超え、南部、中西部への拡散を早期に抑え込む必要あり、と判断した。
とくに、念頭にあったのはウエストバージニア、ノースカロライナ、サウスカロライナ、インディアナ、ケンタッキー、テネシー、アラバマ、ジョージア、フロリダ、ミズーリ、アーカンソー、ミシシッピー、ルイジアナ、カンザス、オクラホマ、テキサスなどの南部諸州、および中西部ミシガン、ウイスコンシン、ペンシルバニアなど「レッド・ステーツ」で、いずれも11月大統領選でトランプ再選に欠かせない重要州だ。
中でも2016年大統領選でトランプ当選の決定的カギとなったミシガン、ウイスコンシン、ペンシルバニア3州に今後感染者が増え、経済活動や市民生活に深刻な影響が及ぶことになれば、初期対応の遅れに対する批判も含め、本選で黄信号がともりかねない。これらの諸州が深刻な事態を迎える前に、なんとかコロナウイルス感染拡大を民主党地盤の大都市圏内で食い止める必要があった。
トランプ再選支援に向けすでに動き出している一部州では、「ブルー・ステーツ」から「レッド・ステーツ」への感染拡大抑制を強く求める声が上がっていた。「隔離構想」を大統領の問題発言の直前に直訴していたフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和)はその急先鋒だった。大統領は昨年、自宅住所を現在のニューヨークからフロリダに移したばかりであり、11月大統領選で「地元」となる同州を落とすことは絶対避けなければならない事情もある。それだけに大統領はとくに、デサンティス知事とはコロナウイルス感染危機以来、緊密に連絡を取り合うきわめて近い関係にあったという。
最終更新:4/7(火) 12:21
Wedge































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