コロナ禍が世界中に拡大する中、米国とイランが水面下で再び緊張を高めている。トランプ政権の強硬派はイラン支援の民兵から米軍などが攻撃を受けた場合、イランを直接的に報復攻撃し、コロナ危機で苦境にあるイランをとことん追い詰めるよう主張。対してイランは制裁で医療用品を購入できないと訴え、制裁の緩和を狙っている。対立はどこまでエスカレートするのか。
トランプ大統領は4月1日、イランがイラクの民兵組織を使って駐留米軍などを攻撃すれば、直接的にイランに報復攻撃することを示唆した。大統領はもしそうした攻撃があれば、「イランは極めて高い代償を払うことになる。これは彼らに対するメッセージだ」と強く恫喝した。
米紙などによると、大統領が恫喝したのはイラクのイラン支援民兵「カタイブ・ヒズボラ」(神の党旅団)が米軍に大規模攻撃を加えることを計画している、との米情報機関の極秘情報があったからだ。同組織は3月、米軍によってイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官と組織指導者が暗殺されたことの仕返しとして、バグダッド北方の基地へロケット弾攻撃し、米兵2人、有志連合軍の英兵1人を殺害した。
米国はこの攻撃に対し、「カタイブ・ヒズボラ」の武器庫などを空爆、戦闘員ら数十人を殺害した。駐留米軍は新たな攻撃に備えるため、部隊をより安全な基地に移動させ、一部をクウエートなど隣国に配置換えした。しかし、再び切迫した攻撃計画の情報があったため、トランプ大統領の恫喝となったようだ。
しかし、トランプ政権内部では、報復攻撃について強硬派と慎重派が大激論を展開し、真っ二つに割れている。ニューヨーク・タイムズによると、ホワイトハウスでは3月12日、「カタイブ・ヒズボラ」の攻撃にどう応じるかをめぐって安全保障チームがトランプ大統領の前で鋭く対立した。
ポンペオ国務長官、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)、グレネル国家情報長官代理らが、大胆な軍事行動が米軍への攻撃をやめさせ、イランを譲歩させて交渉のテーブルに就かせることになると主張。イラン海軍艦船に対する攻撃などイランへの直接攻撃を大統領に進言した。ポンペオ国務長官はイラン指導部がコロナ禍で対応に忙殺されている今こそ、強硬的な措置でイランを追い込む時だと見ているようだ。
これに対し、エスパー国防長官、ミリー統合参謀本部議長らはイランが「カタイブ・ヒズボラ」に米軍攻撃を命じた「明確な証拠がない」ことを指摘し、イランへの直接攻撃がイランの反発を招き、米国をより広範な戦争に引きずり込む恐れがあるとして反対した。
エスパー国防長官らはソレイマニ司令官殺害に対するイランの報復ミサイル攻撃で、約100人の米軍兵士が脳に障害を受けるなど負傷したことから、イランとの軍事衝突には慎重になっている。トランプ大統領は最終的に、イランへの直接報復をやめ、「カタイブ・ヒズボラ」の武器庫などへの攻撃にとどめた。
最終更新:4/7(火) 12:31
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