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夏には感染は終息する、と考えていいのか?

4/7(火) 19:33配信

ニューズウィーク日本版

──風邪を引き起こす4種類のヒトコロナウイルスは、夏季は感染が少ないが......

季節性インフルエンザは、一般に、冬に流行し、春になって気温が上昇すると終息する。2019年末以降、中国から流行が広がった新型コロナウイルスについても、当初は「暖かくなれば終息するのではないか」との楽観的な見方があったが、感染者数は2020年4月6日時点で121万人を超えた。北半球の多くの地域で春が到来し、専門家は、新型コロナウイルスが季節性インフルエンザと同様の流行パターンをたどるのか、注視している。

● 動画:暖かくなると新型コロナウイルス は?

■ 夏になっても、感染は広がり続けるとみられる

英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、2006年から2011年までの英国でのデータをもとに風邪を引き起こす4種類のヒトコロナウイルス(HCoV)の流行パターンを分析し、2020年3月30日、未査読の研究論文をオープンアクセスジャーナル「ウェルカム・オープン・リサーチ」で公開した。

これによると、ヒトコロナウイルスは冬に流行して2月にピークを迎え、夏季は感染が少ないことがわかった。研究論文の筆頭著者であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのロブ・オールドリッジ博士は「これらのヒトコロナウイルスについては、夏は感染者が少なく、冬になると感染が広がると考えられる」とする一方、「新型コロナウイルスでも同様の流行パターンがあるのかどうかは不明だ」と述べている。

新型コロナウイルスはまったく新しい感染因子であり、現時点では、免疫を獲得している集団がない。従って、夏になっても、感染は広がり続けるとみられている。

英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)のウイルス学者マイケル・スキナー博士は、英紙ガーディアンで「新型コロナウイルスの活動が季節によって変動し、これが流行に一定の役割を果たしていると考えられる」としながらも、「その影響度は、社会的距離戦略(ソーシャル・ディスタンシング)で得られる効果に比べれば、極めて限定的だ」とコメントしている。

英レディング大学のベンジャミン・ニューマン博士も同様の見解を示す。「新型コロナウイルスは氷点下に近い冬の中国で流行がはじまり、現在では、北極圏に位置するアイスランドから赤道直下のブラジル、エクアドルまで、広範囲で感染が広がっている。また、冬から春になり、ウイルスの感染拡大は世界で加速している」と強調する。

■ 春の到来によって、ヒトの免疫系も変化する

春の到来によって、ウイルスの活動のみならず、ヒトの免疫系も変化すると考えられている。
英サリー大学と米コロンビア大学の研究チームでは、ヒトの免疫能の季節変動について研究をすすめている。冬至・春分・夏至・秋分に被験者から採取した血液・便・尿の生体試料を分析したところ、免疫系で重要な役割を担う白血球細胞が一日のある時点で上昇することがわかった。

たとえば、免疫細胞であるリンパ球の一種「B細胞」が夜間に上昇することが明らかとなっている。これは、時間によって免疫応答が変化することを示唆している。

サリー大学のデブラ・スキーン教授は「多くの感染症がそれぞれ異なる時期にピークを迎えている。これは、ヒトの生理的応答が季節によって変動する日長時間に依存していることを示すものかもしれない」と述べている。

松岡由希子

最終更新:4/7(火) 19:33
ニューズウィーク日本版

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