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寝る前に「カフェイン」を…医師が教える「上手な昼寝」の方法

4/7(火) 12:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

睡眠不足は万病のもと。その解消のために、大企業や学校なども推奨しているのが「昼寝」です。今回は、良い睡眠のために「昼寝の効果を最大化する方法」を中心にみていきます。※本連載は『その睡眠が寿命を縮める』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。

眠気を感じたときは「15~30分の昼寝」がおすすめ

平日は決まった時間に寝起きしている人でも、休日になると深夜まで起きていたり、翌日は昼近くまで寝ていたりなど不規則な生活になりがちです。実はこうした生活は、「体内時計」を乱し、体の調子を狂わせて疲れやストレスを溜めることになっています。

体内時計は遺伝子レベルで設定されているため、これに逆らった生活は全身の各臓器に不調を引き起こし、不眠や循環器疾患だけではなく、がん、感染症、代謝疾患、精神疾患など、あらゆる病気の引き金にもなります。

体内時計を狂わせないようにと休日でも平日と同じ時間に起きたら、睡眠不足が解消されず、疲労が蓄積していく一方ではないか、と思った人もいることでしょう。そういうときに効果的なのが「昼寝」をすることです。

昼寝とは、昼食後にとる仮眠のことをいいます。子どもの頃は、幼稚園や保育園で“お昼寝の時間”があったのに、成長とともに昼寝をしなくなりました。ですから一般には、「昼寝は子どもがするもの」と思われがちです。

ところが近年、「パワーナップ」といわれる短時間の仮眠がグーグルやアップル、マイクロソフトなどのIT企業をはじめ、日本でもJR東海、学校で推奨するなど、その効果に注目が集まっているのです。

パワーナップは、“パワー”と“ナップ(昼寝)”を合わせた造語で、米国コーネル大学の社会心理学者ジェームス・マース氏が命名しました。パワーナップには睡眠不足をカバーし、脳の疲れを解消して仕事や勉強の作業効率をアップさせる効果があります。

私たちの体はもともと、食後に眠くなるようにできています。これには、睡眠と覚醒に関係する「オレキシン」という脳内物質が影響しています。オレキシンは、食欲を刺激する「食欲中枢」という場所で発見され、さらに睡眠に関係する物質であることが解明されました。

このオレキシンが活発に働いているとき、人間を含めた多くの脊髄動物は覚醒し、オレキシンの働きが鈍ると睡眠状態に入ると考えられています。

野生動物は、空腹になるとエサになる獲物を探さなければなりません。これは敵と戦う危険な行為ですから、意識を最高レベルにまで覚醒しておく必要があります。

このとき、「オレキシン作動性ニューロン」という神経細胞がオレキシンを刺激し、活性化することで野生動物は覚醒します。これによって最高レベルに覚醒した野生動物は、狙った獲物を捕獲してエサにありつけるというわけです。

エサを食べて満腹になると、もう獲物を狩るという危険な行為を当分の間はしなくて済みます。そうするとオレキシンの活動が鈍り、眠たくなると考えられています。このような仕組みが、どうやら生物の進化の結果に生まれた人間にも継承されているようで、昼食後に眠たくなると考えられています。

このオレキシンを発見したのは、当時、米国テキサス大学におられた柳沢正史教授と櫻井武教授の日本人のグループです。現在は筑波大学で研究を続けられています。もちろん睡眠不足が原因のケースが多いのですが、睡眠が足りていても食後はオレキシンの影響で眠気に襲われるということです。

したがって、このタイミングに昼寝をすれば、眠気を解消できるというわけです。厚生労働省の 「健康づくりのための睡眠指針2014」 によると、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」とされています。

昼寝の効果を最大に活かすには、次のようにいくつかのポイントがあります。

1. 午後4時までに寝る:午後4時以降に昼寝をしてしまうと、夜の睡眠に影響が出てしまうので、午後1~3時の間にとるようにします。

2. 寝る時間は15~30分程度:30分以内なら、まだ浅い眠りなので目覚めも良く、作業効率が高まります。しかし、30分以上になると深い眠りに入るため、起きてからしばらくは頭がボーっとするなど、かえって仕事や勉強に支障をきたします。

3. 寝る前にカフェインを摂る:コーヒーなどのカフェインが含まれているものを寝る前に摂っておくと、ちょうど起きるタイミングである30分後くらいにカフェインの効果が出てくるので、すっきり目覚めることができます。

4. 寝やすい環境づくり:ネクタイや腕時計など体を拘束しているものを外したり、耳栓やアイマスクなどを活用したりして、眠りやすい環境を整えます。

そういえば、スペインでは「シエスタ」と呼ばれる昼寝の習慣があり、午後3時ごろはオフィスも店も休業時間になります。旅行をしたとき、どこの店も閉まっているので、買い物も食事もできずに困った経験がある人もいるのではないでしょうか。しかし、生体リズムから考えると理に適った良い習慣といえます。

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最終更新:4/7(火) 12:00
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