交渉を有利に進めるためにはどうすればいいのか。元大阪府知事の橋下徹氏は「交渉が成立するかは、準備の段階で決まっている。自分が譲れない要望を整理しておき、交渉中は相手の要望を見抜くことに徹するのだ」という――。
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※本稿は、橋下徹『交渉力 結果が変わる伝え方・考え方』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
■準備の段階で、交渉の結果は決まっている
交渉で1番大事なことは事前の「要望の整理」だ。自分の要望はもちろん、相手の要望も整理の対象だ。自分の要望が多ければ多いほど、交渉は成立しにくくなる。要望が多いということは、獲得目標が多いということ。「これも獲得したい、それも獲得したい、あれも獲得したい。だから、これも、それも、あれも譲れない」となると、交渉はまとまらなくなる。
大事なことは事前に要望を絞り込むこと。究極的には1つに絞り込む。1つに絞り込めなくても、例えば、当初10個の要望があるなら、せめて2つか3つに獲得目標を絞り込んでおく。
当初10個の要望に優先順位を付け、獲得目標を上位3つに絞り込んだら、残りの7つは相手に譲歩してもいいということだ。つまり、譲歩のカードとして使う。そして優先順位の低いほうから、1つずつカードを切っていって、最終的に7個までは譲歩し、残り3つは絶対に譲歩しない。
言い換えれば、10個の要望を『絶対に譲れないもの』3つ、『譲れるもの』7つにきちんと事前に整理しておくということだ。
こちら側が『譲れるもの』を譲ることが、相手に「利益を与える」ことになる。当たり前だが、交渉は、相手に利益を与えれば与えるほど、まとまりやすくなる。
このように交渉をうまくまとめるには、交渉の準備の段階で、自分の要望に優先順位を付け、要望を整理しておくことだ。準備の段階で、交渉が成立するかどうかの9割は決まると言っても過言ではない。
■時間をズルズルと延ばしてはいけない
自分の要望をきちんと整理できていないと、欲張って要望をどんどん上乗せしてしまったり、逆に譲歩のカードを出し渋ったりして、ずるずると時間だけが過ぎていく。人間は欲が強いもので、交渉のときには、相手が譲歩してくると、もう少し自分の要望を上乗せしたいという気持ちになるものだ。また、相手に弱気な態度を感じると、自分の譲歩のカードを出し渋ったりする。「もう少し」「もう少し」と要望を上乗せしていくうちに、相手が絶対に譲れないと内心思っている最終ラインを、知らずに越えてしまう場合もある。あるいは、あともう少しの譲歩のカードを切れば相手も納得したのに、カードの出し渋りで納得に達しない場合もある。相手側が「そんな条件を飲むくらいなら、今回の交渉は決裂してもいい」と考えるラインを越えてしまえば、すべてが無駄に終わる。
また、自分の要望の整理がきちんとできていないと、とりあえず交渉がまとまっても、後に、もう少し自分の要望を上乗せできたのではないか、譲歩のカードを温存できたのではないか、と後悔の念に駆られることもある。
だから、そのようなことがないように、こちら側の要望について事前に徹底的に整理し、「絶対に譲れない3つの要望は獲得できた。これでもういい」とスパッと交渉を終わらせるラインを明確に設定しておくべきなのである。
みなさんは目の前の交渉以外にもやらなければいけないことがたくさんあるはずだから、まとまる交渉は早くまとめて、他の仕事に取りかかったほうがいい。わずかに自分の要望を上乗せするために、また譲歩のカードを温存するために、ズルズルと交渉の時間を延ばさない、という割り切りが重要だ。
■とにかく「相手の要望」を探り続ける
自分の要望を整理することの重要性は先に述べたが、交渉の達人は、相手の要望も徹底的に整理する。相手が何を望んでいるのか、どこまで譲歩できるのかを把握すれば、これほど交渉がやりやすいことはない。ババ抜きをするにしても、相手のカードをすべて把握できれば楽勝である。しかし、交渉の多くでは、相手は手の内を見せてくれない。
だから、交渉相手と会話をしながら、相手の要望をリスト化し整理する。とはいえ、「交渉といっても、どこに注意をしながら相手と会話すればいいのかわからない」と質問をしてくる人が多い。その際、僕は、「交渉における会話で最も大事なことは、相手の要望を探り、それらの優先順位を把握することを目標に会話を重ねることだ」と答える。相手はいろいろなことを言ってくるだろうが、会話を重ねながら「この人の要望は何か。一番優先しているのは何か」「絶対に譲れないものは何か」「譲れるものは何か」と、自分の要望を整理するのと同じ視点で、相手の心の内を探っていく。
最終更新:4/7(火) 11:15
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