■コロナ相場で「落ちているナイフをつかむ」とケガをする
2月下旬以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界の株式や為替などの金融市場は大混乱に陥った。金融専門家の間では、今回のコロナウイルスによる混乱はリーマンショックを上回るとの予測もある。
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最大の問題点は、いつまでウイルスの感染拡大が続くか、その収束にどれだけの時間がかかるか読めないことだ。先行きが読めない状況に不安を募らせた投資家は、一時、価格の変動リスクのある資産を一斉に投げ売った。
そうした状況下、3月中旬、日経平均株価の平均的なPBR(株価純資産倍率)が0.8倍台まで低下した。それを見た一部の投資家は、「PBRが1.00を下回るほどの株価下落は行き過ぎている」と考えた。PBRが1.00を下回るということは、株価が一株当たりの純資産の価値=解散価値(企業が倒産などで解散する際に残る資産価値)を下回っていることを意味する。
企業が事業を続けて利益を上げられるならば、理論上、PBRが1.0倍を下回ることはあり得ないことだ。ということは、株価は売られ過ぎということになる。
ただ、その判断は慎重に行うべきだ。2020年、世界経済が“マイナス成長”に陥る展開は避けられそうにない。GDP成長率がマイナスになれば、企業の収益は落ち込み、資産の価値にも下押し圧力がかかる。
今後の展開次第では、PBRにさらなる下押し圧力がかかる可能性は排除しきれない。欧米の市場の格言に、「落ちているナイフをつかむな」がある。机から落下するナイフを素手でつかむとケガをするという意味だ。
■コロナショックでPBRが急低下した理由
3月6日、日経平均株価の平均PBRは1.00を下回った。3月12日にはTOPIX(東証株価指数)でも同じことが起きた。3月中旬、日経平均株価の平均PBRは0.8倍台前半にまで低下した。
PBR(Price Book‐value Ratio)とは、株価が、一株当たりの企業の純資産(資産総額から負債総額を引いた価値、企業の解散価値)に対して何倍であるかを示す尺度だ。計算式を示すと、PBRは株価を1株当たりの純資産で割ることによって求められる。この定義にもとづけば、今回のPBRの急速な低下は、株価の下落によってもたらされたと考えられる。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界経済は“開店休業”というべき状況に陥った。中国では感染が小康状態に向かいつつあるとみられはするものの、日米欧、さらには南米やアフリカ諸国など新興国において感染状況は深刻だ。
感染を抑え込むために、世界各国が国境を封鎖するなどし、人の移動を制限しなければならなくなった。需要が急速に落ち込むと同時に、感染者の増加や防疫のために生産(供給)活動も低下し、さらにはサプライチェーンも混乱している。
■私たちの不安感が市場全体に伝染した
それは、企業業績を悪化させ、失業の増加など経済のファンダメンタルズを悪化させるだろう。また、ワクチン開発には12~18カ月程度の時間がかかるとされる。いつ、感染が収束するか先行きが読めないことへの恐怖心が増幅し、“売るから下がる、下がるから売る”という心理が連鎖し、世界各国で株価がかなり不安定に推移した。その結果、PBRが低下した。
重要なことは、資産の価格(価値)には人々の心理が大きく影響することだ。特に、日次、週次といった短期間の市場や経済の変化は、わたしたちの心理に影響されやすい。リスクに対する感覚、考え方は十人十色だ。
また、わたしたちは周囲の行動につられやすいという側面を持つ(群集心理)。今回、ウイルスの影響がどのように収束するか読めないという不安が市場全体に伝染し、価格変動リスクのある資産が投げ売られ、急速に現金化が進んだ。
最終更新:4/7(火) 17:45
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