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ホークスの160キロ左腕がブレイクか。 工藤監督の金言で制球難を克服

4/7(火) 11:40配信

webスポルティーバ

人生はトントン拍子で事が運ぶほど甘くはない。厳しいプロ野球の世界ではなおさらだ。

 ホークスに入団して今季4年目、21歳の古谷優人(ふるや・ゆうと)。ドラフト2位でプロ入りし、有望株と大いに期待された左腕だが、一軍実績はまだゼロ。

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 故郷は北海道中東部に位置する幕別町。地元の江陵(こうりょう)高校では甲子園出場は果たせなかったが、3年夏の道大会では最速154キロや1試合20奪三振をマークして同校を初のベスト4に導いた。

 プロ入り後は、1年目のオフに「胸郭出口症候群」による血行障害に悩まされながらも、2年目には二軍公式戦で29試合に登板して5勝2敗、防御率3.81の成績を残して、この年の8月には登板機会こそなかったが一時期出場選手登録もされた。

 そして昨年5月5日、三軍の一員として遠征参加した香川オリーブガイナーズとの定期交流戦で日本人左腕投手として前人未到の160キロのスピードボールを投げ込んでみせたのだ。

 にもかかわらず、古谷は過去3年間で一度も一軍のマウンドに立つことができていない。

 理由は、剛腕投手にありがちな制球難だった。先述した2年目の二軍戦は59投球回に対して48四死球。3年目の昨季は二軍戦で35回2/3を投げて33四死球、三軍戦では84回2/3で61四死球。数字を見れば明白だし、とくに右打者の外角高めに外れる"抜け球"が目立った。

投手がコントロールに苦しむとき、ボールが抜けるか、引っ掛けてしまうかの2パターンに分類されるが、首脳陣はとくに前者を嫌う傾向にある。球が抜けるということは体の開きが早い証拠でもある。いい投球フォームが身についていないというバロメーターになるからだ。

 3年やって一人前と呼んでもらえるのがプロ野球の世界だ。言い換えれば、3年間でひと区切りと考えることもできる。

「3年間で自分の課題がまったく克服できませんでした」

 危機感は募るばかり。古谷にとってのコントロールは、課題というより悩みだった。

「160キロ。あれは幻です」

 誇るべき数字とあえて距離を置いてみたこともあった。ただ速いだけでは意味がないのなら、スピードを抑えてでも制球重視で投げるべきなのではないかと考えた時期もあった。

 古谷は迷った。人生に迷った時、人間はだれかの助けが必要になる。出会いというものは誰にでも訪れるチャンスがある。あとは、その目の前の機会をつかむか、逃すかは本人次第だ。

 古谷を救ってくれたのはホークスの首脳陣だった。

「昨年の秋のキャンプで倉野(信次/ファーム投手統括)コーチに『147キロでフォアボールを出すオマエに魅力はあるのか。思いっきり腕を振って155キロでフォアボールなら相手も嫌がる。フォアボールを出しても失点しなければいいじゃないか』と言われたんです。僕のなかでラクになったというか、その言葉で開き直ることができました」

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最終更新:5/12(火) 12:42
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