3月29日、タレントの志村けんさん(70)が、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなった。遺体はすぐに火葬され、遺族は骨を拾うこともできなかったという。ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳氏は「葬儀は遺族の後悔や悲しみを癒やす唯一の手段だ。コロナ禍が終息したときには、ぜひ盛大なお別れの会を開いてほしい」という――。
【写真】三陸鉄道開業30周年記念企画展のオープン記念イベントに登場したコメディアンの志村けんさん
■志村さんの遺族が「骨も拾えないし、顔も見られない」法的理由
タレントの志村けんさんが、新型コロナウイルス感染による肺炎で先月末に亡くなった。兄の知之さんが志村さんの遺骨を抱え、取材に応じる姿が印象的だった。
遺族は志村さんを病院で看取ることができず、遺体はすぐに荼毘に付された。火葬場での最後の見送りもできなかった。報道によれば、遺骨になって自宅に戻った志村さんの、簡単なお弔いが営まれたという。知之さんは「骨も拾うことができないし、顔も見られない」「本当は盛大に送ってあげたかったのに、こんなことになって悔しい」と話していた。
平時であれば志村さんほどの著名人なら、数千人規模のファンや関係者が葬儀会場に駆けつけ、別れを惜しんだのではないか。残念な限りである。所属事務所はコロナ騒ぎが終息した際には「お別れの会」を設けることを発表した。しかし、それがいつになるかはわからない。
■志村けんさんだけではない「コロナ死」した後の残念すぎるプロセス
志村さんだけではない。全国的に感染者数が増え続け、死者数が増加していく中、「コロナ死」はひとごとではない。恐怖を煽(あお)るわけではないが、すでに誰もが死のリスクを負っていると、腹をくくる必要がある。
また、コロナ感染が原因で亡くなった方の遺族は、死後の措置をどうすればいいのか。葬送は、遺族の心のケアにとって、とても大事である。ここでは通常の葬送の手順と、コロナ感染による死亡後の葬送の手順の違いについて解説し、遺族の心の整理のつけ方について述べていきたい。
まず、死亡場所についてのデータを示したい。
半世紀以上前と現在とでは、多くの人の最期を迎える場所が逆転している。厚生労働省の調査によれば、1955年では自宅死が77%と大多数を占めていた。だが、2018年では病院・診療所で亡くなる割合は74%、高齢者施設内での死亡は11%。自宅死は14%にすぎない。
かつての自宅死の場合、すぐに菩提寺の僧侶が駆けつけて、枕経を唱えたものだ。そしてそのまま自宅か菩提寺で、通夜、葬儀が行われた。葬儀が終われば霊柩車に乗せられて出棺。火葬場でも簡単な炉前読経があり、そして荼毘に付された。骨壺に納められた遺骨は自宅に戻り、その後は初七日法要が営まれる。これが一般的な死後の手順であった。
しかし、現在では多くが施設死になっている。施設死の場合、葬儀社が遺体を引き取り、葬儀会館や遺体安置施設に安置されることが多い。最近では葬式をしない直葬が急増しており、「すぐに火葬してほしい」と願う遺族も少なくないようだ。しかし、原則的には24時間以内の火葬はできないことになっている。
これは「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」の第3条に、「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く他、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行ってはならない」と規定されているからだ。
■通常は「死後24時間経過」しなければ火葬できない理由
なぜ、死後24時間経過しなければならないかといえば、いったん死の判定を受けた者が「蘇生するかもしれない可能性」を完全に排除するためである。その昔は、24時間以内に蘇生したこともあったようだ。
実際には、通常の死後の手順を踏んでいれば必然的に24時間は経過する。枕経から通夜、葬式まで3、4日はかかるからだ。しかし、直葬や、一部地域での「骨葬」(後で詳述)の場合は火葬までの時間がぐっと短くなる。だから、「どこかに24時間」安置する必要がある。近年、都会では遺体安置施設が数多く建設されているのは、こうした直葬が増えているからだ。
しかし、志村さんの場合は24時間以内に火葬された。
最終更新:4/8(水) 14:50
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