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再建中の東芝が「東証1部復帰」にこだわる事情

4/8(水) 5:35配信

東洋経済オンライン

 経営再建中の東芝は4月3日、現在上場している東京証券取引所第2部から1部への復帰を東証に申請したと発表した。債務超過を理由に東証2部に降格してから3年。早ければ2020年秋にも東証1部復帰の道が見えてきたが、課題は残されている。

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 東芝をめぐっては、利益を水増しする不正会計が2015年4月に発覚し、同年に歴代3社長らが引責辞任するなど経営が混乱。さらに2016年末にはアメリカの原発子会社で巨額損失が発覚し、債務超過に陥ったため、2017年8月に東証2部へ降格していた。

■東証の昇格基準緩和の恩恵を受ける

 2部から1部に復帰するためには、監査法人の適正意見がついた有価証券報告書が必要になる。これまでの東証ルールでは過去5年分が必要だったが、東証は2月、直近2年分でよいとする昇格基準の緩和に踏み込んだ。

 このルール変更の恩恵を受けたのが東芝だ。東芝は2017年3月期の有価証券報告書で適正と認められていなかった。東証の基準緩和と軌を一にして、東芝は2019年末から1部復帰に向けた専門部署を立ち上げ、早期復帰の準備を進めていた。

 そんな中で誤算だったのが、1月に発覚した子会社の東芝ITサービスで5年にわたって実態のない循環取引をしていたことだ。東芝は当初、2月にも1部復帰を申請する予定だったが、不正取引の対応に追われ、4月までずれ込んだ。

 もっとも、東芝にしてみれば、今回の不正取引は子会社が主導したのではなく、過去の東芝不正決算とはまったく異なるとの認識だ。1部昇格審査への影響は限られるとの期待が東芝にはあるが、東証が審査に慎重になる可能性もある。東証の審査期間は3カ月程度とされているが、2017年に東証2部から1部へ復帰したシャープの場合は申請から承認まで約5カ月かかった。

 東証1部上場のメリットは、「優良企業」という勲章や誇りが伴うだけではない。企業の信用力が増し、資金調達がしやすくなる。ただ、東芝は2018年に虎の子だった半導体メモリー事業を約2兆円で売却するなど、手元のキャッシュは潤沢だ。そのため、「(1部昇格の狙いは)資金調達がファーストプライオリティではない」(市場関係者)という見方が多い。

 東芝が1部復帰を急ぐ本音は、「モノ言う株主(アクティビスト)の排除」にほかならない。2017年に実施した6000億円の大型増資により、アメリカの投資ファンド「キング・ストリート・キャピタル・マネージメント」など、百戦錬磨の外資系投資家が東芝の大株主に名を連ねている。

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最終更新:4/8(水) 5:35
東洋経済オンライン

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