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新型コロナで「引っ越し」も自粛。1年の稼ぎの半分が消えた業者も

4/9(木) 8:54配信

週刊SPA!

 人手不足を背景にした「引っ越し難民問題」が深刻となった昨春。料金の高額化や受注の困難化など「引っ越し業界」は岐路に立たされた。それから丸1年、コロナ禍によって業界は再び大きな岐路に立とうとしている……。

昨春、社会問題化した「引っ越し難民」はいずこ!?

 コロナ禍によって、我が国の多くの業界が大打撃を受けているのは、各種報道の通り。経済的打撃の大きさは「リーマンショック級」ともいわれているが、もっともそのあおりを食らっているのは、引っ越し業界かもしれない。関係者によれば、現在、この業界は未曽有の苦境に立たされている。

 そもそも引っ越し業界にとって、進学や人事異動に伴う引っ越しが重なる3~4月は、年間の業績を左右する最大の書き入れどき。それをコロナショックが直撃しているのだ。ファイン引越サービス(大阪府堺市)の福井睦樹取締役社長は、この道30年の叩き上げとしての経験をもとに、業界の収益構造をこう話す。

「この繁忙期が各社の稼ぎどきで、ここで年間利益の半分くらいの収益を上げています。引っ越し会社の経営の基本は、3~4月の短い期間に稼いで蓄えをつくり、それ以外の月のマイナスを抑えることです。引っ越し業界の永遠の課題として、『繁忙期をならして月ごとの売り上げを平準化すればよい』と指摘されることがありますが、それは綺麗事。平常期の仕事の単価がもう下がりすぎていて、正直、繁忙期の価格設定がなければ引っ越し業はやっていけないんですよ」

 インターネットの比較サイトが登場して以来、価格に対する顧客の目は厳しさを増すばかりだ。それは引っ越し業界も例外ではない。

「10年前までは単身の平均引っ越し単価は東京で4万円、大阪で3万円と1万円の差がありました。しかし、いまは全国一律になり東京でも3万円となっています。業界で最初に価格破壊を起こしたのは、現在の業界首位に上り詰めたサカイ引越センターでしたが、準大手、中小はこうした大手の値段を基準に見積もりを出します。その際、大手はネームバリューがあるため、例えば大手の5万円見積もりに対してウチが4万円を出した場合、『1万円しか違わないなら大手に頼む』というお客さんが2~3割はいらっしゃいます。つまり、かなり値引きしないと受注が取れないんですよ」

 引っ越しの技術そのものは負けていないのに……と福井氏は嘆くが、閑散期はそうした値下げによる消耗戦になっているのが現実。そのため、引っ越し需要の急増が大手業者の対応力を超え、中小業者にも仕事が行き渡る繁忙期に頼らざるを得ないのだろう。

 だが、’18年から「引っ越し難民」が社会問題として大きくクローズアップされるようになった。いびつではあっても、曲がりなりにもこのシステムで回ってきた引っ越し業界も、昨今は岐路に立たされているというわけだ。

「私が現場にいた頃は、3~4月は60連勤。ぶっ通しで働いて10万円の報奨金をもらう、という時代でした。そうした長時間勤務によって繁忙期の引っ越しは成り立っていたのです。それが人手不足と働き方改革によって、業界全体の許容量が減っていき、引っ越し難民が発生してしまいました」

 幸か不幸か、今年はそうした様子が一変。コロナの感染拡大を防ぐために引っ越しを取りやめる人が急増したのである。

 物流業界の専門紙である『物流ウィークリー』編集部によると、今年は「引っ越し難民」という言葉すら聞こえてこないのだとか。

「コロナの影響で、これまでの繁忙期のような需要過多ではなくなっており、業者間の競争が激化し、明らかに例年の繁忙期とはかけ離れた市場になっています。企業が人事異動に待ったをかけて転勤が減少したり、一般客も自粛傾向にあり、予約のキャンセルも相次いでいます。引っ越し業界は異常事態に陥っていると言えます」

 こうした状況を踏まえ、取材班は引っ越し業界大手と準大手の計12社にアンケートを実施したが、苦境を窺わせるかのように、10社が沈黙。残る2社も、「前年同期より大幅に減った実感はない」「コロナの影響による予約キャンセルはあまり聞こえていない」と、歯切れの悪い回答だった。

 業界の“異常事態”を肌で感じているであろう、前出の福井氏にも聞いてみたところ、その分析は衝撃的だった。

「3社、4社と探してウチにたどり着いたお客さんは、去年はかなりいらっしゃったんですが、それに比べたら今年は仕事がなさすぎます。実際、今年の繁忙期の引っ越し価格は例年の半額以下。去年の大手は大阪‐福岡間を70万~100万円程度で運んでいましたが、今年は30万~40万円程度の模様です。ウチはもっと安い。これだけ価格が落ち込んでいるところを見ると、おそらく業界の案件数も半分になっているんではないでしょうか」

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最終更新:4/14(火) 7:54
週刊SPA!

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