ここから本文です

開幕延期でファンの大切さが身に染みます。阪神・藤浪はこれをいい経験に変えてほしいです/デーブ大久保コラム

4/10(金) 11:00配信

週刊ベースボールONLINE

 今回の新型コロナウイルス感染拡大により開幕が延期となり、3週間近く経過しました。あらためて思わされることは、「ファンあってのプロ野球」だということです。NPBの方々も、多くの野球関係者も身に染みて分かったのではないでしょうか。私も野球に関わる者としてすごくそれを感じました。

廣岡達朗コラム「新型コロナ、ピンチをチャンスに変えろ」

 私が経営する居酒屋には、多くの野球ファンが来店します。その方々がオフの間、プロ野球選手のケガからの回復や、復活を願う会話をすることが多いんです。よくよく話を聞くと身内に入院していたりする人もいます。「プロの選手を心配するより、家族を心配しなよ!」と笑いながら言ったりしますが、心の中では感謝の気持ちでいっぱい。家族のことよりも、野球選手のことを案じる。そういう方々が、プロ野球の開幕を本当に楽しみに待っています。

 一方で、プロ野球がなくても一般の社会は成り立ちます。必要でないかもしれないものです。でも、その必要のないものを楽しみに待っているファンがいる。そして球場で選手たちを1日でも早く見たいと願うファンがたくさんいます。そういう皆さんのためにも、活動休止の中で、選手たちはできることを精いっぱいやり、開幕に向けて備えてほしいと私は思っています。

 そのプロ野球界で、阪神から感染者が出ました。遅かれ早かれ、誰かが感染するリスクはありました。私は出ないほうがおかしいし、出ることを想定していました。もちろん、球団関係者も出ることは想定していたでしょう。

 球界で最初に新型コロナに感染した選手は、偏見の目で見られるでしょうし、厳しい世間の批判にさらされるでしょう。みんなそんなこと分かっているとも思います。その恐怖を避け、もしかしたら少しおかしいなと感じても報告しない選手が、いたかもしれないです。それを12球団の申し合わせがあったとしても、公表した藤浪晋太郎は、阪神の球団社長(揚塩健治)の言葉どおりならスゴイ男だと私は感心します。

 合コンでとも言われていますが、それが明るみに出たことで世間にたたかれています。確かに配慮がなかったと言えます。しかし、家に十分な数がありながら、マスクが、トイレットペッパーが、と言って不必要に何十人と、長蛇の列をつくっている人たちと、クラスターという意味では条件は変わらないと思いませんか?そういうことを避けてほしいと要請も出ていますよね。そこに並んだ方々に藤浪を批判することはできないでしょう。

「死ぬこと以外は全部かすり傷」が私の格言。藤浪はこの経験を生かして、心配してくれたファンに恩返しをしてほしいです。

 これも私の考え方ですが「結果論には勝てない」。この世はすべて結果のみ。だからこそ、藤浪は今季結果を出して、この騒動を忘れさせてほしいと思います。

『週刊ベースボール』2020年4月20日号(4月8日発売)より

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

週刊ベースボール

最終更新:4/10(金) 12:13
週刊ベースボールONLINE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事