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安河内哲也さん「大学入学共通テストで、受験生の英語学習は大きく変わる」〈dot.〉

5/10(日) 10:00配信

AERA dot.

 英語教育を考える国の有識者会議の委員も務めた、東進ハイスクール・東進ビジネススクール英語科講師の安河内哲也さん。来年から大学入学共通テストが始まることにより、受験生の勉強の仕方は「大きく変わる」と予測する。あまたの受験生を見てきた有名講師が、「AERA English 2020 Spring & Summer」(朝日新聞出版)に語った。

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 私は2014 年に文科省で開かれた「英語教育の在り方に関する有識者会議」に委員として出席し、私が考える大学入試のあり方について意見を出しました。今回の入試改革につながった部分も多くあります。しかし、CEFR(セファール、ヨーロッパ言語共通参照枠)を使ううえでは外部審査機構を作ってすべての試験を精査すべきこと、経済・地域格差の解消のため、政府による資金的援助や大学の会場貸し出しなども提案しましたが、実現されなかったことは残念に思います。ただ、英語入試改革の2本の柱のうち1本は倒れましたが、もう1本は残りました。それは共通テストの英語問題です。

 プレテストを見ると、形式変更のインパクトは非常に大きいです。センター試験は知識を詰め込めば答えられる問題も多かったのですが、共通テストは「英語能力測定」といえます。リーディング、リスニングのスキルがどれくらい高いかが測られるのです。これまでは予備校でも「頻出文法問題直前特訓」など、一夜漬けでできるような講座を開いていましたが、それはもう通用しません。各問の難易度がCEFRに準拠しているのも大きい。英語で何ができるかを測っています。共通テストを受験する生徒の勉強の仕方は大きく変わるでしょう。

 私は予備校で4技能を養う講義を行っています。ただ、高3の最後、半年間はそれもやりづらくなります。生徒たちはみな受験準備に入ると、受験問題の対策が中心になるからです。個別入試の対策として、高校生には難しすぎる英語の文献を和訳し、実際にどこでどう使うのかわからない難解な文法項目を必死に暗記します。いくら学習指導要領が4技能をバランスよく養う指針であっても、特に進学校では大学受験が大切。入試が変わらなければ、4技能教育が難しいという現実があります。

 高校生は力が伸びる時期です。ここでディスカッションやエッセーライティングの練習をすれば、大学に進んだあとも役立ちます。スピーキング、ライティングは英語学習の加速装置でもあります。話す目標があると読んで情報を仕入れるようになるし、書く目的があると表現を覚えるようになる。書くために文法を学ぶようになります。

 世界で信頼されている英語の試験のほとんどが「4技能型」や「4技能融合型」です。海外のほとんどの大学に留学するにもこれで英語力が測られます。日本の大学の入試問題もそうした国際基準に近いものになることを願っています。

(構成/稲田砂知子)

※「AERA English 2020 Spring & Summer」から抜粋

最終更新:5/10(日) 10:00
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