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「魚は獲らない」―ある漁師の選択 : コロナ禍で価格暴落

4/27(月) 15:03配信

nippon.com

中里 将太

新型コロナウイルス感染症の拡大で多くの人の生活がガラリと変わってしまった。不要不急の外出自粛を求められ、飲食店の営業も大幅な縮小を余儀なくされている。そしてその向こう側では、農業や漁業の一次生産者が納品先を失い、価格の暴落に途方に暮れている。そんな中で、「しばらく魚は獲らない」という決断をした漁師が、船に乗らない代わりにペンを取った。(本当は、ペンではなく、スマホで執筆したそうです)

コロナってすごいな。全国的に魚が獲れていない。それなのに魚が爆安!

おい(=私)は宮城県のとある浜(=漁村)で漁師をしています。「新型コロナウイルスとの戦いが重大な局面を迎えています」と連日報道されています。漁師も例外ではありません。ウイルス対策はもちろんのこと。それに加えて、今、私達漁師が直面している問題があります。

それは「大不漁」と「魚価の暴落」です。

「秋鮭が不漁です」とか、「本マグロが不漁です」とか、「明石のマダコが不漁です」とか、皆さんも、テレビのニュースや新聞などでちょいちょい目にしたことがあると思います。不漁は宮城県だけではなく全国規模で、しかも魚種を問わず。

アナゴも、サケも、マダコも不漁!

おいは、秋鮭を中心に、アナゴ、マダラ、マダイ、ヒラメ、ホヤ、金華サバ、サワラ、マダコ、ミズダコ、カニ等々書き切れないくらいの、1年を通してその季節の旬の魚を獲っています。とても豊かな漁場です。いや、「豊かな漁場でした」と言うのがが正しいのかもしれません。

不漁は今始まったわけではありません。メインの秋鮭はここ3、4年はほとんど皆無の状態。2019年の秋もまるでダメでした。夏のアナゴも冬のタコも残念ながらパッとしません。でも漁獲が少なくても、これまではなんとかなっていました。

ざっくり言うと、通常、「魚が獲れていない」時は「市場への供給量が減る」 ので、当然、単価が上がります。だから、魚が少ない分は、単価がカバーをしてくれるからある程度の水揚げ(編集部注 : 売り上げのこと)になります。

逆に魚が豊漁で沢山獲れているときは、「市場への供給量が多い」ので、単価が落ち着きます。単価が安いこんな時は、漁獲量がカバーしてくれる。簡単にいうとこんな感じです。

それを踏まえた上で、魚が獲れていない今、魚の値段は上がると思いますか?下がると思いますか?

答えは、「値上がりする!」

「正解!!!!」……例年通りならね。

でも、今年は、ビックリするくらいの安値です。獲れていないのにアホほど安いのです(笑)。

年の初め頃、中国の武漢で謎の肺炎患者が出ていると聞いた時には、「新型コロナウイルス? なんだそれ?」と、大して気にも留めずにいました。コロナがこんな大ごとになるとは、思ってもみませんでした。中国では日に日に深刻化しているようでも、「どうせ日本には来ないだろう」と甘くみていました。ここまで世界規模で流行するとは、その時は思いませんでした。

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最終更新:4/27(月) 15:03
nippon.com

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