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【モンスターマシンに昂ぶる 009】目指したのはガンダム! 2本の腕を持つ新世代建機

5/4(月) 19:00配信

Webモーターマガジン

ガンダム型建設ロボットを追い求めた唯一のマシン

日本はもとより世界の陸・海・空を駆けめぐる、さまざまな乗り物のスゴいメカニズムを紹介してきた「モンスターマシンに昂ぶる」。復刻版の第9回は、多種多様な建機の中でも、超風変わりな双腕の怪物を紹介しよう。(今回の記事は、2019年3月当時の内容です)

【写真】操縦席やハサミの構造などを見る(全5枚)

今回は連載初登場の建設機械(建機)。といっても、大きさが自慢の超大型建機ではなく、世界に唯一の双腕型油圧ショベル。それをさらに4脚化したコンセプトモデルだ。正式名は「四脚※クローラ方式双腕型コンセプト機」という、日立建機による試作車だが、略称で「コンセプト2A4C(それでも長いが)」と呼ぶ。※クローラ=履帯(りたい)・無限軌道とも言う。キャタピラはキャタピラ社の商標。

2A4Cには、世界初・唯一の双腕型油圧ショベルのアスタコ(ASTACO)というベースとなった市販モデルがある。市販されているアスタコとともに、世界唯一の特長を解説しよう。初代アスタコは2005年に発表されている。従来の油圧ショベルにはできない、片腕で物を抑え、片腕でそれを切ったり工作する。または、両腕で物を安定させながら作業ができるという特長があった。しかし現実はワンアームのショベルでもたいていのことはできるので、双腕の価値は解体業者以外にはあまり注目されなかった。

2011年3月、派生型のアスタコ・ネオが発表されるとほぼ同時に、東日本大震災がおき、ガレキ撤去や復旧作業にアスタコ・ネオも数台が送り込まれた。この時、両腕で倒壊した残骸を慎重に片付けたり、片腕で重量物を持ち上げながら、片腕で細かい作業ができるアスタコが、多くの建設作業員や消防・自衛隊隊員の目に留まり、以後、アスタコの高い評価と導入につながった。3.11の教訓も含めながら、より高い走破性と安定性を追求した今回の主役、2A4Cがあるわけだ。

もっとも、アスタコも2A4Cも「必要性」から開発されたマシンではない。実は開発の目的は「ロボット型建機」、もっと言えば「ガンダム型建機」の実現であった。

開発当時、開発チームの中心的若手はロボットアニメ「ガンダム」の洗礼を受けた世代で、モビルスーツの実現こそがアスタコの出発点で、その発展型の2A4Cにまでつながっている。とくにマスタースレーブを重視する双腕の操縦系は、モビルスーツのコクピットを再現したかのような左右の腕用ジョイスティックとペダル、スティックの先端にはアタッチメントの操作ボタンが配置されている。従来型建機とは異なるものの、被災地のオペレータは直感的に操作を覚えることができたという。

試作では小型にしたアーム型の操縦レバーと、本体の機械アームの動きをシンクロさせるマスタースレーブハンドルも試したが、これは思ったより疲れたそうだ。また、3Dモニターによる操縦の試作も行い、無人化や遠隔コントロールの可能性に備えている。油圧ショベルはその名と違い、多用途工作機器と呼ぶ方がふさわしく、取り外し可能な先端=ショベル部は、掘削・把持(握る)・破砕・切断・吸着(マグネット)等々、建設・解体・防災・林業など現場の要求で、膨大なアタッチメントが装着できる。この先端(手先)部もジョイスティックをねじる動作や、ボタン操作で器用な動きをこなせるのだ。

飽くなきガンダムチックを追求した4脚4クローラ化は、車高が96cmも上がるだけでなく、4輪操舵が可能になった。ガレキの上などでの機動性確保はもちろんだが、とくに従来型では不安定な状況でも本体の水平性維持を可能とした。脚を広げ踏ん張ることにより、アウトリガー(車体から飛び出す支柱)の役目を持たせることができ、アームを伸ばした状態の作業安定性を大きく向上させている。

2A4Cはコンセプトマシンではあるが、近未来型建機としてロボットアニメ大国の日本製らしい技術と多様性を満載している。(文 & Photo CG:MazKen、取材協力:日立建機株式会社)

■コンセプト2A4C 諸元
・全幅:232cm(ハの字開脚可)
・全高:289~385cm(キャブ部屋根まで)
・全重量:約9.8トン
・パワーユニット:いすゞ製直噴ディーゼル・直列4気筒 OHV・インタークーラー付ターボ
・定格出力:40.5kW/2000rpm
・走行装置:油圧モーター×4

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最終更新:5/4(月) 19:00
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