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イージス・アショア「秋田で見直し、山口は計画通り」の大きな矛盾

5/9(土) 8:01配信

現代ビジネス

 弾道ミサイルに対処する地対空迎撃システム「イージス・アショア」の秋田市の新屋演習場への配備について、防衛省が配備を断念し、秋田県内で他の候補地の選定に入った。読売新聞や共同通信、NHKなどが6日、報じた。「地元の反対」が断念の理由という。

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 もう一カ所の山口県萩市のむつみ演習場への配備は、昨年12月のうちに防衛副大臣が地元に「唯一の適地」と伝え、ほぼ決定している。

 「地元の意向」が判断材料になるのなら、むつみ演習場の正面に位置し、レーダー波(電磁波)をまともに浴びかねない山口県阿武町の花田憲彦町長や町議会も強く反対しているにもかかわらず、予定通り配備しようとするのは、なぜなのか。

 「地元の意向」が示されたとしても、防衛省には「受け入れる場合」と「突っぱねる場合」というダブルスタンダード(二重基準)があるのだろうか。

秋田の民意は「明確に反対」

 まず、秋田市のイージス・アショア配備をめぐる地元政治家の動きを見てみよう。

 秋田市の場合、候補地が秋田市街地に隣接することから、住民らは電磁波の影響や攻撃目標とされることへの不安を訴えていた。

 今年1月20日、秋田県の佐竹敬久知事は防衛省を訪れ、河野太郎防衛相に申し入れ書を手渡した。防衛省は、候補地周辺で行った調査のデータに複数の誤りが発覚したことを受けて、再調査を実施中だった。

 このタイミングでの佐竹知事の防衛省訪問は、再調査の結果が出るのを待たずに先手を打つ狙いとみられる。提出した申し入れ書には「説明資料が極めて杜撰」「住民への具体的な説明がない」とあり、「新屋演習場への配備は無理があるのではないか」と指摘した。

 佐竹氏自身も「県としても理解する状況には至らない」と口頭で伝え、地元住民と足並みを揃える形で防衛省に再検討を迫った。

 続く2月20日には、自民党秋田県連会長を務める金田勝年自民党幹事長代理を筆頭に同県連議員団が防衛省を訪れ、河野防衛相に「住民感情を踏まえると、無理があると言わざるをえない」と訴えた。

 知事と自民党県連による波状攻撃にさらされた河野防衛相は、同県連に対して「ゼロベースで検討する。住宅地などからの距離が重要な考慮要素であることはそのとおりだ。要望を重く受け止める」と答えざるを得なかった。そして6日の報道によると、この言葉通り、配備見直しが実現する。

 秋田県内で「イージス・アショア反対」の民意が明確に示されたのは、昨年7月の参院選挙だった。自民党の現職候補が、配備反対を掲げた新人の野党統一候補に2万票以上の差をつけられて敗れた。

 前回2016年の参院選挙では、東北6県のうち5県で野党候補が当選する中で、唯一自民党候補が勝利したのが秋田県である。そんな保守王国が、イージス・アショアをきっかけに揺れ始めた。

 佐竹知事は参院選挙後の定例会見で「候補者の地元である秋田市でも、陸上イージスが敗因となった」と明言。これより前の6月、佐竹氏は防衛省の調査ミスが発覚したのを受けて、「秋田弁で言えば『わっぱが(いいかげん)仕事』」と述べ、防衛省への不満を表明していたが、参院選挙の結果が決定打となり、候補地見直しに舵を切ったとみられる。

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最終更新:5/9(土) 8:01
現代ビジネス

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