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走高跳・戸邉直人の原動力は、亡き恩師の言葉と“エビデンス”。

5/13(水) 11:31配信

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「東京オリンピックに向けてという意識が一番にありますが、いろいろなものが自分のモチベーションになっています。試合ではほかの選手との競争になりますが、いかに過去の自分を超えて行けるかという競技。2m35を跳んだのであれば次は2m36を、2m36を跳んだのであれば次は2m37を目指すと思います。そういう意味では、記録への挑戦というものが、自分にとって最も大きなモチベーションになっていますね」

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 昨年2月2日、ドイツ・カールスルーエで行われた陸上の室内競技会で、男子走高跳の戸邉直人が2m35で優勝し、2006年の日本選手権で醍醐直幸がマークした2m33の日本記録を13年ぶりに塗り替えた。

筑波大大学院でフォームの研究。

「研究の息抜きが練習で、練習の息抜きが研究」という理論派は、学部4年、修士2年、博士3年と、9年間にわたって学業と競技を両立させてきた。昨年3月に筑波大大学院博士課程を修了。博士論文のテーマでもある「走高跳のコーチング学的研究」では、従来の研究で述べられていた走高跳でより高く跳ぶために必要な要素を、被験者を使って統計的に調べ、自身の競技力を向上させてきた過程の動作分析を行った。

「なかでも踏み切り動作における力や方向がどのように跳躍に貢献しているかを研究したのですが、結果、踏み切り脚の股関節の外転筋(脚を外に開く筋肉)がよく働くと、上昇力が高まり、より高く跳ぶために有効だと明らかになりました。

 研究で導いた理論をもとにトレーニングを行うことで効率化されますし、自分が強くなるため、高く跳ぶためには何が必要で、どういったことを行えばいいのかがクリアになります」

踏み切り位置を30cm手前に。

 踏み切る位置が異なるとバーの見え方も変わり、助走や空中の動作も変わってくる。まさに「踏み切り」は走高跳において肝となる動作だ。

 水平移動から垂直方向の動きに変換させる踏み切りの瞬間は、脚全体で1トンの衝撃を受け止めるようなものだ。助走から踏み切り、空中動作など一連の動きを洗練させていく上で、毎日跳躍練習を行うことが理想ではあるが、「実際にそれをやってしまうと、間違いなくケガをする」という。そうしたリスクを考慮し、実際に跳躍を行うのは1週間のうち最大でも2日、逆に1日もトレーニングで跳ばない週もあるほどだ。

 昨年、日本記録を樹立した後は、東京オリンピックを視野に入れ、さらに記録を伸ばすため、自らの研究データをもとに様々なチャレンジを試みた。

 その1つが踏み切り位置の変更だった。

「さらに高く跳ぶために踏み切り位置を従来よりも30cm程度手前にしたんです。より高くバーを越えようとすると、跳躍自体の幅が必要になります。背面跳びの動きのなかでバーをうまくかわして跳び越えようとすると、ある程度、(手前で踏み切ることで)放物線の幅を広げなければなりません。遠くからバーに向かって飛び出していくという形が理想なので」

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最終更新:5/13(水) 11:31
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