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「第3の消毒薬」として注目を集める次亜塩素酸を、化学者が両手を挙げて容認できないワケ

5/22(金) 15:33配信

HARBOR BUSINESS Online

第三の消毒薬が求められる背景

 これまでに高濃度のエチルアルコール(エタノール)などの消毒用アルコールと次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイター) という古典的な消毒薬についてご紹介してきました。本来、エタノールの安価且つ潤沢な供給が行われれば、これら二つの一般的な消毒薬で事は足ります。

⇒【図】遊離有効塩素の存在比pH依存性

 しかし、水回り以外で広汎に使えるエタノールが、国内には莫大にあるにもかかわらず本質からかけ離れたくだらない理由で市中から姿を消してしまっていることはシリーズ第5回と第6回で指摘したとおりです。

 このため市民は、消毒用アルコールに代わり手指消毒にも使える消毒薬を探して右往左往しているのが現状です。優れた有資格技能者として徹底的に訓練され、職場も手洗いに最適化されている医師や看護師ならともかく、市民に日常生活、仕事のなかで「手を洗おう」(BBCによれば少なくとも20分に一回の頻度)などと呼びかけところで安普請のスローガンでしかありません。なお現代医療において医者は、「手を洗って当然*」の職種ですので「手を洗う医者」などとネットで主張したところで、「犬はワンと鳴く」と言うのと変わらず、筆者は日々こみ上げる笑いをこらえることに苦労しています。実は、医療関係者よりも合成化学者の方がより高頻度に手を洗います。油断すると手が破壊されますし最悪の場合、悶絶して死にます。
〈*消毒と同じく、手洗いも古くて新しい技術で、医療現場への手洗いの導入は、19世紀中頃イグナッツ・ゼンメルワイスによるものであって200年の歴史すらない。手洗いは当時の医学界の権威主義により否定され、イグナッツ・ゼンメルワイスは、失意のために精神を患い、入院先での職員による暴行によって死去している。(参照:”手洗いの大切さ、発見したが報われなかった不遇の天才医師”2020/03/10ナショナルジオグラフィック日本版、”感染制御の父 イグナッツ・ゼンメルワイス” 日本BD)〉

 アルコールが市中から消えている以上、現実問題として、安全かつ安価で十分な殺菌能力がある消毒薬が求められる事は当然です。そういったなか、次亜塩素酸が着目されています。

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最終更新:5/22(金) 15:33
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