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「黒川検事長」に異議 松尾元総長の“捜査ストップ”指令を公安関係者が告白

5/22(金) 15:31配信

デイリー新潮

 検察幹部を退く年齢になっても、内閣や法相の判断でポストに留まることができる特例を新設するとされる「検察庁法改正案」。黒川検事長問題とも言われたこの改正案に世論は大いに反発し、与党は狙っていた今国会での採決を見送ることを決めた。挙句に黒川検事長のマージャン辞職という展開と相成ったが、法案について批判の声を上げた中には、検察トップだった松尾邦弘元検事総長もいた。そこで持ち上がったのは、トップ時代の捜査中止命令の前歴である。

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オッサンの誕生日が話題に

 SNSでは、〈#検察庁法改正案の強行採決に反対します〉というムーブメントが各界の著名人を巻き込む形で拡大し、関心の高さを証明していた。そこまでこのハッシュタグが広がった理由について云々する人たちは後を絶たず、ある特殊機関がその一翼を担ったという珍説や単に巣ごもり生活でヒマだったからではということまで、さまざまだった。

 この法案でテーマとなっている、あるいは政府の側からいえば、テーマとされてしまっているのは、「検察人事への政治介入」。検察は首相だって逮捕する特権を与えられている以上、政治のみならず色んな勢力から独立しているべきだという建前だ。裏返せば、検察は清く正しく美しくあってほしいという国民の願いが見え隠れする。

 2009年以降、村木厚子さんに絡んだ郵便不正事件で、エースの検事が証拠物のフロッピーディスクを改ざんした件で身内のはずの大阪地検特捜部長らが逮捕・起訴されたり、小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」事件の捜査で、実際にはなかったやり取りが捜査報告書に記載されていたりなど、検察の信頼は失墜していく。

 その直後は自ら事件を発掘するリスクは極力負わず、証券取引等監視委員会などが掘り当てた事件を請け負うなど、薄氷を踏むようにして這い上がり、力を蓄えながら捲土重来の機会を窺ってきた。転機が訪れたのは鬼の森本宏特捜部長の就任以降。事務次官を目前にしていた文科官僚にカルロス・ゴーン(逃げられてしまったが)、そして秋元司元国交副大臣と、念願のバッジ(政治家)を逮捕するなど、それなりに存在感を示してきた……。

 もっとも、安倍政権下で、小渕優子経産相、松島みどり法相、甘利明内閣府特命相、佐川宣寿国税庁長官ら、疑惑の持ち上がった代議士や高級官僚はいずれも逮捕・起訴をまぬかれていることにフラストレーションを募らせる国民も少なくない。そういった人たちは、彼らがいずれも不起訴に終わっているのは、すべて安倍官邸の意をくんだ検察ナンバー2・黒川弘務東京高検検事長(63)の“仕事”だと指摘する。

 黒川検事長をいちやく時の人にしたのは、その定年延長問題だった。オッサンの誕生日がここまで話題になることはこれまでなかったかもしれない。黒川氏の誕生日は2月8日。今年のこの日で63歳となった黒川氏は、検事長の定年を迎えるはずだったが……。

 検察関係者によると、

「政府は黒川さんの定年を半年延長する閣議決定をしました。そんなことは前代未聞だという議論が沸き起こり、国会でも追及が始まった。官邸はかねて、現在の稲田伸夫検事総長が辞めて、黒川さんがトップになるという青写真を描いてきました。さすがに安倍官邸といえども、検察トップのクビを無理に挿げ替えることはできませんから、自発的な辞任のためのプレッシャーをかけた。稲田さんも一旦は辞めるハラを固めたようですが、結果として、辞めなかったんですね。安倍官邸にはこれまで人事をひっくり返され続けた不満がありますから。それで、ダラダラと後任人事が決まらないまま年を越してしまった」

 官邸と稲田総長との間の“チキンレース”は続いてきたのだが、その副産物のひとつが、黒川検事長の定年延長だったのだ。

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最終更新:5/23(土) 10:45
デイリー新潮

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