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「バイトも嫌がって…」コロナ消毒作業を担う「特殊清掃業者」の本音

5/23(土) 10:01配信

現代ビジネス

「早急に消毒の作業をしてもらいたいんですが…」

 5月の初頭――。横浜で「ゴミ屋敷状態」のアパートの清掃をしていた特殊案件施工士の及川徳人さん(45)のスマホが鳴った。

【写真】過酷すぎるコロナ消毒作業の現場…

 電話の相手は、以前からよく知る不動産管理会社の担当者だった。

 「及川さん、実は急な話なんですが、うちで管理している団地で新型コロナの感染者が出てしまいまして。そこで、早急に消毒の作業をしてもらいたいんですが……」

 聞くと現在の現場からさほど遠くない場所だった。及川さんは、その現場の仕事を他のスタッフに任せ、アシスタントを連れて現場に急行した。

 現場に行ってみると、電話をかけてきた担当者が不安げな面持ちで出迎えてくれた。
そこは、3階建ての団地の1階の部屋だった。その部屋のドアは、すでに管理会社によって密閉され、ドアにはテープが貼り付けてあった。

 この部屋の住人に新型コロナの症状が出て、搬送された病院で検査の結果「陽性」とわかり、その情報が病院を通じて管理会社に届いたのだ。

 室内には当分誰も入れない。中の洗浄も必要となるのだが、現在のところ感染を防ぐために密閉するしかない。

すべて消毒しなければならない

 エレベーターはない建物だった。及川さんにとって、新型コロナの感染者発生による清掃・消毒はこの依頼で6回目のことだった。1階の部屋であっても、2、3階まで上がらないと言う保証はない。いわゆる共有部分をすべて消毒しなければならない。

 及川さんたちは、防護服にゴーグルに防護マスク、長靴という出で立ちで作業を開始した。

 まず、噴霧器で消毒液を散布していく。すべての階段にまいていき、それが終わると消毒液を染み込ませた布で手すり、階段、床を丁寧に拭きあげる。さらに、感染者が触った可能性のある集合ポストも消毒する。

 使用する消毒液はアメリカ製の「ハイプロックス アクセル」という濃縮タイプの除菌洗浄剤。これは今年2月に新型コロナウィルスの集団感染が発生したあの「ダイヤモンドプリンセス号」の殺菌・消毒で使用されたものと同じ種類だった。濃縮タイプなので、水で希釈して使用する。

 最後に自分たちの長靴の靴底も消毒液に浸けた布で洗浄する。着ていた防護服を脱いで消毒のスプレーを全身に振りかけて作業は終了となる。防護服は1回で処分されると言う。

 約2時間の作業だった。及川さんが言う。

 「今回は、アシスタントがついてくれましたが、『新型コロナ』と聞くとアルバイトも嫌がるんです。『家族が反対するので』と言われることもあります。こちらも無理にとは言えないんで、やってくれる人にしか頼みません。僕ですか? 怖くないとは言えませんが、充分に注意して慎重にやっていますから」

 これで費用はいくらかかるのだろうか。

 「相場としては1平米約800円。今日のケースだったら約6万円ですね。最近では、新規参入の業者が1平米3000円なんて法外な請求をするケースもあるようですね」

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最終更新:5/23(土) 10:01
現代ビジネス

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