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「コロナ禍」はいつまで続く?:2022年終息説ほかいくつかのシナリオ

5/24(日) 8:40配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

感染症疫学に詳しい神戸大学の中澤港教授に『エピデミック』の作者川端裕人氏が聞く「新型コロナ、本当のこと」第9回――。

【図解】2022年終息説を含む話題のシナリオ

 COVID-19による緊急事態宣言下の自粛要請はいずれ終わる。その出口は、早いか遅いかの違いで必ずやってくる。

 本稿をまとめている2020年5月なかばにおいては、日本の39県ですでに緊急事態宣言が解除されており、残りの8都道府県でのみ継続中だ。遠からず感染の収束が確認されたら、すべての都道府県で解除されることになるだろう。

 しかし自粛要請が終わったからといって、すぐにかつての日常が戻ってくるわけではない。当面、ぼくたちは、行動を変容させた「新しい日常」の中で、「コロナ禍」と付き合っていくことになる。

 では、それはいつまでだろう。

 答えは、多くの人が気づいているように、「最短でも1年以上」だ。

「ワクチンか画期的な治療薬が開発されて、広く使われるようになれば、究極的な解決、といえるかもしれません。でも、それには最短でも1年半から2年かかります。それに、ワクチンができない感染症も多いので、COVID-19のワクチンができる保証はないんです」

 ワクチンができれば病気にかかることなく免疫をつけることができるので、ぼくたちは一気に集団免疫(herd immunity)を確立することができる。しかし、ワクチンの開発は、時間がかかるだけでなく、病原体によってはワクチンができないこともある。例えば、マラリアには効果的なワクチンがないし、2014年に日本で流行したデング熱も初回の感染より2度目の感染の方が重症化することがあり安全なワクチンの開発が難航している。COVID-19がそのような厄介な性質を持たず、ワクチンが十分な免疫を与えてくれるものだとしても、臨床試験(治験)を終えて、ゴーサインが出るのは1年以上先の話だろう。

 また、よく効く治療薬が開発されて、COVID-19が「怖い病気」ではなくなれば、それも状況を一変させる力を持つだろう。しかし、既存薬の中にそのようなものがなければ、新しく開発される薬に期待するしかないし、それがうまく見つかったとしても、やはり慎重な臨床試験を経て承認されるので、それが市中の病院で安心して使えるようになるはずっと先の話だ。

「ワクチンや治療薬がなくても、最短で終息する場合の予測を2月15日にハーバード大学公衆衛生大学院の感染症疫学者、リプシッチ教授が連続ツイートしています(※1)。それによると、最短で終息する場合というのは、1年間で世界人口の40から70パーセントが感染して、集団免疫がついて、Rが1未満になって終息する場合です。1年以内に全世界の半分ぐらいの人が感染すれば終息すると。でもこれ、世界人口を考えたら、控えめに見ても900万人が死亡することになりますし、医療的対処の許容量を超える『オーバーシュート』が起こるとIFRも上がるので、最悪5250万人が死亡という計算ができてしまうんですよ。とてもこれは受け入れられないので、Rを減らす努力を各国がしているわけです」

(※1)https://twitter.com/mlipsitch/status/1228373884027592704

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