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「妻の無償労働」に頼りきりで生きてきた男たちの末路

5/24(日) 7:01配信

現代ビジネス

「妻」に先立たれた途端の悲劇

 その80代の男性は、妻をがんで亡くしてから独り身の生活が続いていたという。

 終活コンサルタントの安藤信平氏が訪れた男性の自宅は、「悲惨」のひと言に尽きた。安藤氏が言う。

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 「玄関を入ったらゴミの山で、足の踏み場がなく、異臭を放っていました。排泄をお風呂でしていた様子もありました。もともと片付けが苦手な方だったようですが、身の回りのことをすべて奥さんに任せていました。

 奥さんの死後、話し相手もおらず、寂しさを紛らすために酒におぼれ、栄養バランスもおかしくなった。被害妄想も出て、怒りっぽくなり情緒不安定になっていました」

 男性は、最後は腎臓を壊して亡くなったという。

 妻に先立たれる可能性を考えて準備しておかないと、夫を悲劇が襲いかねない。ひとつは、経済的な問題だ。

 「夫を亡くした妻に比べると、妻を亡くした夫のほうが経済的に打撃を受けます。一般に前者のほうが大変のように思われますが、妻には遺産相続に加えて遺族年金や死亡保険金が入るケースが多い。

 しかし妻を亡くした夫の場合、専業主婦だった妻の分の年金が単純に減るだけのことが多く、経済的に苦しくなるのです」(シニア生活文化研究所所長・小谷みどり氏)

 唯一の収入である年金だけではない。家事ができない夫が独り身になれば、おカネに直結する。

 「妻がやっていたような家事ができなければ、そのぶん支出が増えてしまいます。料理ができずにスーパーで弁当を買う人は食費がかさんでいきますし、洗濯や掃除もできなければ外注するしかない。

 それだけ妻が無償労働をしていたということになりますが、夫のほうが貧困に陥りやすいのです」(小谷氏)

 冒頭の男性は、妻の死後1年ほどは「自由気ままに生活できて楽しいよ」と語っていたのだが、やがて孤独になった。そう、おカネ以上に、精神的な負担は凄まじい。

 「現役世代のときなら、もし妻に先立たれても、仕事があるため、妻が生きているときのライフスタイルを送ることになり、そのうち慣れていく。

 ところが定年後に妻を亡くしてしまうと、ぽつんと孤独になってしまい、路頭に迷う。一気に話し相手が減り、外出も減っていきます。精神的なダメージから、ひきこもりになってしまうことも多いのです」(小谷氏)

 前出の安藤氏は「妻が亡くなってから生活を変えるのでは遅い」として、こうアドバイスする。

 「家事については、妻の段取りを日頃からみて、実際に一品でも料理を作ってみましょう。そして妻がやっているように近所の人と挨拶や会話をしてみる。

 妻がいなくなっても、周りの人に助けてもらおうという姿勢でいるべきです。準備をしておけば、動揺はあっても、やがて自立して生きていくことができます」

 晩年はひきこもりになって孤独死―気をつけておかないと、誰にでも起こる悲劇である。

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最終更新:5/24(日) 7:01
現代ビジネス

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