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DeNA楠本泰史「まずは打たないと」。背番号“7”が似合う選手になれるか。

5/24(日) 9:01配信

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 あのときの光景が脳裏に焼き付いている。

 昨年の9月21日に横浜スタジアムで行われた巨人戦、10回裏、最後のバッターとなった横浜DeNAベイスターズの楠本泰史は、力なく三振に倒れた。その瞬間、巨人のリーグ優勝が決まり、楠本は目の前で歓喜の胴上げを見つめるしかなかった。

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「最後のバッターにはなりたくない、何とかチームに希望を見出したいと打席に立ちましたが……。自分の力のなさを痛感したし、悔しくて仕方ありませんでした。三振した瞬間、キャッチャーの小林誠司さんの『よっしゃ! 』という声も聞こえましたからね……。以来、あのときの映像は見ていません。

 ただ、あとから考えれば、あんな経験のできる人間はそうはいない。ただの経験で終わらせてしまうのか、それともあれがあったから頑張れたと将来言えるのか。あのシーンは鮮明に覚えているので絶対に忘れないようにしたい。野球をやめるまでは」

 楠本は静かに、決意するようにそう語った。

昨季オープン戦では首位打者に。

 今季入団3年目となる楠本は好打の外野手だ。ヘッドを立てた柔らかく大きな構え。右足をスッと引き上げ、絶妙なタイミングでバットをインサイドアウトの軌道で鋭く振り抜く。ゾーンは広く、ボール気味の球に食らいついていき、フルスイングで引っ張ることもあれば、センター方向から逆方向へ器用に打ち返すこともできる非常に高いセンスを持つバッターだ。

 昨シーズンはオープン戦で首位打者となり、開幕当初からスタメンに名を連ねるなど首脳陣の期待も高かったが、残念ながら楠本は実力を発揮することができなかった。5月頭に登録抹消されると、以降怪我もあり一軍とファームを行き来し、結局昨季は39試合の出場にとどまり打率は.207と低迷した。果たして原因は何だったのか。楠本は次のように自己分析している。

低迷の原因は「心」。

「もちろん技術不足という前提はあるのですが、心に余裕がなく、自分で自分を追い込んでしまったところがありました。オープン戦のときは自信に満ち溢れ、伸び伸びプレーしていたのが、シーズンに入ると、この1打席、このワンプレーがとか、明日も試合に出たい、結果を出さなければと変に自分に対しプレッシャーを与えてしまったような気がします。

 例えば試合にコンスタントに出られている方々は、試合直前までリラックスして、試合に入ると集中するといった切り替えが上手いのですが、僕は試合前からいろいろなことを考えて、頭をフルに使った状態で試合に入っていました。しんどくなるぐらい気合を入れていたし、マインドセットができていませんでしたね」

 それを痛切に感じたのがファームに落ちてからだという。楠本は二軍で70試合に出場し、打率.315、OPS.837と十分な数字を残している。

「ファームでできていることが、一軍でできないのはなんでやねんって。ファームでは決して気を抜いているわけではないのですが、心の余裕というか力みなくリラックスして、時には試合中、少し笑顔が出るようなこともありました。これぐらい楽しんで野球をやらなければダメだなって理解したんです。もちろん結果は大事ですけど、結果を求めすぎて空回りするぐらいなら、今、自分の置かれている環境を楽しまなくちゃいけない。幼いときから夢だった場所で野球をやっているわけですからね」

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最終更新:5/24(日) 9:01
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