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八重樫、井岡との再戦に興味「パワーで潰せる」

2013/5/9(木) 6:57配信

THE PAGE

 井岡一翔は、精密機械のようなボクシングで見事にV1を果たした。リスクを負わず、少しずつ、少しずつ、切れ目を広げて堤防を決壊させるかのようなボクシング。チャンスを察知すると、まるで空手の正拳突きのように、ドンとみぞおちをピンポイントで狙う右のボディブロー。挑戦者のランキング2位、ウィサヌ・ゴーキャットジム(タイ)を9回2分51秒、キャンバスの上で大の字にさせた。

 デビュー以来、無傷の12連勝でWBA世界ライトフライ級王座の防衛に成功。その姿をリングサイドで試合を観戦していたのが、昨年6月にWBA、WBC世界ミニマム級統一戦で井岡と対戦し、判定で敗れ、今年5月にWBC世界フライ級王者として2階級制覇で返り咲いた八重樫東(大橋ジム)である。その八重樫に井岡の防衛戦の印象を聞いた。

――まずは試合の印象から教えて下さい。

 「前回、(井岡が)この階級のタイトルを獲ったときは、僕とやった時に比べて、スピードもパワーも数段進化していたと思ったのですが、今日の試合を見る限り、その前回からの変化はなかったですね。タイの挑戦者に、あまりにも攻撃力がなかったので参考になりませんでした」

――ボクシングに気になった点はありましたか。

 「立ち上がりは、いつものように慎重でしたね。ガードを固めて距離をとってリスクを侵さない。タフな相手を、どう崩していくんだろうと見ていたのですが、うまい具合に右のボディが入りましたね」

――もし、自分と対戦すればなんてことは、考えていましたか?

 「今日は足の勝負でした。カラダをぶつけあう展開ではありませんした。挑戦者はサウスポーですし、タイプがまったく僕とは違いますからね。でも井岡君が、今日のような出来ならば、こっちにパワーがあれば、あのガードはこじ開けることができると思いましたね。決してガードが巧いわけのボクサーじゃないのでパワーで潰せます」

――井岡選手との再戦の可能性はあるのですか?

 「僕に聞かんで下さいよ(笑)。試合に関しては大橋会長にすべてをお任せしています。会長の考え通りについていくだけなので、何もわからないんです。でも、やりたいか、やりたくないかと聞かれれば、もちろん、やりたいですよ。でも、僕には、エドガー・ソーサという最強挑戦者との指名試合が待っています。僕も井岡君も、今後、お互いが勝ち残っていれば、そういうチャンスも出てくるということじゃないですか。著書の『我弱き者ゆえにー弱者による勝利のマネジメント術』(東邦出版)にも書いたのですが、先ばかりを見て失敗するのが、僕のボクサー人生なので(笑)。こういう時こそ、足元をみつめることを忘れないようにします」

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 当初、八重樫は、この試合のゲスト解説予定だったが、突然、局側からキャンセルを告げられたという。裏事情はよくわからないが、そこには、早くも井岡陣営と八重樫陣営の間に再戦を意識した火花が散っているようである。

 では、現在、階級の違う井岡―八重樫の再戦の可能性はあるのだろうか?その場合、どの階級で、どちらがチャンピオンの立場で対戦するのか。放映局にすれば、今年の大晦日で、拳歴に残る昨年6月の統一戦の名勝負を作った、井岡VS八重樫の再戦は、垂涎の黄金カードだろう。

 まして、ボクシングに本格参戦してきたフジテレビが、今年の大晦日のカードとして、ロンドン五輪の金メダリスト、村田諒太のローカルタイトル戦と、大橋ジム所属のスーパーホープ、井上尚弥の世界戦カードを準備しているとなれば、なおさら、その視聴率戦争に勝つためにも、井岡、八重樫という人気選手のカードをぶつけたいと考えるだろう。

 ただ、現在、井岡はライトフライ級王者で、八重樫はフライ級の王者。井岡が、無敗のまま挑戦者となって、階級を上げて3階級制覇を目指すのか。はたまた、八重樫が、1つ階級を落とし、挑戦者として“逆3階級制覇”をライトフライ級で狙うのか。

 そのあたりの駆け引きは難解だが、幸いなことに両選手の世界戦放映は、同じくTBSが行なっているので、再戦の実現への障害はひとつクリアされている。たとえ、大晦日決戦に間に合わなくとも、2人が防衛を重ねるほど、日本ボクシング界屈指の好カードとして再戦の気運が高まってくるだろう。

                      (文責・本郷陽一/論スポ)

最終更新:2016/1/6(水) 4:11
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