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藤浪が大谷に打たれた理由 ―元虎のスコアラーに聞く―

2013/5/26(日) 22:06配信

THE PAGE

”キレ”という面では物足りなかった

 藤浪vs大谷の1対1の対決に勝ち負けをつけるならば、文句無しに3打数2安打の大谷の勝利だろう。だが、藤浪はスーパールーキー対決には敗れたが、対日ハム戦先発という大事な勝負には勝った。87球という省エネ投法で7回を1失点。腰の張りなどでローテーションを飛ばし21日ぶりとなった一軍復帰登板を安定感のあるピッチングでまとめた。

 さて、藤浪対大谷の対決から見えて来たものは、何なのか。4勝目を挙げた高卒ルーキーの藤浪の勝てる理由は、どこにあるのか。阪神のチーフスコアラーを25年務め、先ほど、「虎のスコアラーが教えるプロの野球観戦術」(祥伝社・黄金文庫/670円)を出版した三宅博氏に分析してもらった。データは口ほどにモノを言う。スコアラー流のチャート図を作ってもらい分析すると、そこには藤浪と大谷の非凡な才能が浮かび上がってきた。

――藤浪は、二回無死二塁で迎えた最初の対決で、左飛に打ち取ったカットボール以外は、すべてストレートの勝負でした。

 「真っ直ぐで抑え込むという気持ちやったんやろうね。藤浪は頭のいい子なんだけど、大谷との3度の対戦は、配球以前の気持ちの勝負だった。初回に大量リードをもらったから、なおさら、そういう勝負のできるシチュエーションになったね。右中間に二塁打を打たれた第3打席には徹底してインサイドを攻めようという気概は見えたけれど、打たれたボールはいずれも甘いコースに入ったシュート回転のストレート」。

――そうでした。

 「意識的なのか、それとも天性なのか、たまたまなのか。そこはわからないが、藤浪のストレートは、143キロから152キロまでのスピード差がある。それが小さな緩急になっている。ご存知の通り、今の野球は、手元でボールを小さく動かすことが隆盛だが、藤浪のボールは、まさにそれ。右打者のインサイドのボールがシュート回転している。天然のツーシーム。おそらく腕が横振りに近いからだろう。右打者はストレートの感覚でスイングにいくと手元でシュートしてくるから厄介だ。そのナチュラルシュートを軸にして外へはカットボール。インサイドとアウトコースを、大きく使った横の揺さぶりが藤浪の特徴になっている。でも、このシュート回転のストレートは、左打者に対して、甘く入るとリスクのあるボールになる。そこを大谷に仕留められた。気になっていた、その欠陥が大谷に敗れた理由かな。3打席でファウルはたった2球。空振りはなかった。最初の打席では、152キロが表示されていたが、キレという面でも、今日は物足りなかった」。

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最終更新:2016/1/30(土) 4:48
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