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円安と日本経済の構造転換

2013/5/27(月) 10:24配信

THE PAGE

 アベノミクスによる円安と株高が、日本経済の構造転換を浮き彫りにしつつあります。個人消費に回復の兆しが見られる一方で、円安にもかかわらず輸出の回復が遅々として進みません。両極端なこの現象は、日本が輸出主導型の経済から個人消費主導型経済への変化を示している可能性があります。

本格的に個人消費が拡大?

 昨年末に日経平均が上昇を始めてから、個人消費の拡大が顕著になってきています。当初は高級ブランドや外車など富裕層向けの商品が中心であったことから、株高による限定的な資産効果(手持ち資産の価格が上がることで購入意欲が高まり消費が増えること)と思われていました。しかし、3月に入ると衣類や生活用品の売上増加など、消費拡大が中間層にも波及していることを示す兆候が出始めました。4月に入って多少の減速が見られるものの、個人消費の堅調さが目立っています。

円安にもかかわらず、輸出が回復しない

 一方で、日本経済の柱である輸出産業は低迷が続いています。北米向け輸出が好調な自動車関連産業を除くと、多くの業界で円安にも関わらず輸出が伸びていません。財務省が発表した4月の貿易収支は約8800億円の赤字となりました。貿易収支の赤字は10カ月連続で、4月の赤字額としては過去最高を更新しています(図1)。

 円安は輸入金額を上昇させる一方、輸出金額も上昇させます。このため本来であれば円安によって一方的に赤字になることはありません。しかし、日本の貿易収支は円安の進展から数か月経っても一向に改善していません。その理由は、輸出数量そのものが減少しているからです。

輸出が不振なのは競争力の低下が原因

 これまで輸出金額と輸出数量は、ほぼ同じを動きを見せてきました。しかし円安の進展以降、肝心の数量は下落の一途を辿っており、特に2月には対前年比15.8%という大幅なマイナスを記録しました。3月以降も輸出数量と金額の乖離はさらに激しくなってきています(図2)。

 輸出の数量が増加しないのはズバリ、日本製品の競争力がなくなってきているからです。もし、競争力が低下しているのだとすると、改善にはかなりの時間がかかり、円安による輸出回復で景気を刺激するシナリオはすぐには成立しないことになります。

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最終更新:2016/1/15(金) 4:16
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