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アンジェリーナ・ジョリーが公表した「乳房予防切除」って何?

2013/5/27(月) 15:15配信

THE PAGE

 女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がんの発症予防のために両方の乳房を切除したことを公表しました。それをきっかけに、日本の国内にも実施準備を進めている病院のあることが報道されて話題になっています。

 乳房予防切除とは、特定の遺伝子に変異が見つかり乳がんにかかりやすいことがわかった場合に、まだ発症していない段階で乳房を切り取る手術のことです。同じ遺伝子の変異が卵巣がんの発症にも関わっていることから、卵巣と卵管を切除する手術が行われる場合もあります。いずれも、がんができやすい臓器をあらかじめ切除し、発症のリスクを抑えるのが目的です。

切除すれば発症リスクが10%程度に

 乳がんや卵巣がんに関係があるとされているのはBRCA1とBRCA2という2つの遺伝子で、これらに変異のみられる遺伝性の乳がんは、全乳がんのうち5%から最大10%と推計されています。一方で、BRCA1もしくはBRCA2に変異のある女性が生涯に乳がんにかかる確率は、アメリカのがん専門機関であるNCCNのガイドラインによると、45~84%。乳房を予防切除した場合には、この発症リスクが10%程度まで下がるといわれています。

 遺伝子変異の有無は、血液検査で知ることができます。本人が若くして(50歳以下)乳がんを発症したか、近親者に乳がん・卵巣がんの患者が複数いることなどが検査の前提となります。結果によっては、予防的にどのような治療を受けるかを選択する過程で、子どもを産むかどうかなど大きな決断を迫られる可能性もあります。

 アメリカでは1996年からBRCA1/2の検査が始まり、今では年間10万人以上がこれを受けていると言われています。乳房予防切除が遺伝性乳がんの予防治療の一つとしてガイドラインに収載されたのは2008年でした。

 これに対し、日本で臨床の検査が始まったのは2006年から。年々実施件数が増えてきているとはいえ、それでもまだ年間約500件ほどです。これまで変異が見つかった人へは、がん検診の頻度を上げて早期発見・早期治療につなげるといった対応がされているほか、変異のタイプによっては抗がん剤を予防的に投与する薬物療法も行われています。

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最終更新:2016/2/3(水) 4:38
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