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高速増殖炉「もんじゅ」って何? 運転停止の影響は?

2013/5/29(水) 10:24配信

THE PAGE

 原子力規制委員会は5月29日、日本原子力開発機構(JAEA)に対し、高速増殖炉もんじゅの運転再開に向けた作業を中止する命令を決定しました。事実上の運転停止命令で、日本のエネルギー政策に大きな影響を与えそうです。

消費する核燃料よりも多くの核燃料を生み出す

 「高速増殖炉」とは、消費する核燃料よりも多くの核燃料を生み出す原子炉のことです。通常の原子炉よりも高速の中性子を使って核分裂を促し、燃えない(核分裂しない)ウランを、燃える(核分裂する)プルトニウムに効率よく変換するのです。福井県敦賀市の「もんじゅ」は、JAEAが運営する高速増殖炉です。

 原子力発電の燃料となるウランには燃えるウランと、燃えないウランがあります。燃えるウランは、天然ウランの中には0.7%しか含まれていません。残りの99.3%は燃えないウランです。つまり通常の原子炉(軽水炉)だけでは、資源としてのウランのうちわずかしか活用できないのです。

 それに対して高速増殖炉では、燃えないウランを燃えるプルトニウムに効率よく変換することで、消費した以上の燃料を生み出すことができます。これを「増殖」といいます。理論的には、これによってウランをより有効に活用できます。

 通常の原子炉で使い終えた核燃料から、燃え残ったウランや新たにできたプルトニウムなどを取り出して燃料として繰り返し使う仕組みを「核燃料サイクル」といいます。核燃料サイクルでは、そうしたウランとプルトニウムを混ぜ合わせて、「MOX燃料」をつくります。高速増殖炉では、このMOX燃料を使います。

 MOX燃料は通常の原子炉でも燃料になります(プルサーマル)が、高速増殖炉で使うと、燃えないウランを燃えるプルトニウムに変換でき、それを再処理することでまた核燃料として使うことができます。その循環が核燃料サイクルです。

膨大な予算、実質的な成果はゼロ?

 しかし、もんじゅは1995年8月に発電を開始したものの、同年12月には冷却剤として使うナトリウムが漏洩するという事故を起こしてしまいました。2010年5月にやっと運転を再開したものの、今度は燃料を交換するための装置が原子炉内に落下するという事故がありました。それを引き抜くことができたのは翌年6月です。

 そのうえで2012年11月、原子力規制委員会によって9679個もの点検漏れがあったことが公表され、さらにその後も点検漏れの発覚が続きました。そして前述のように今年5月、事実上の運転停止命令が下されたのです。

 このことによって、以前から実現可能性を疑問視されてきた核燃料サイクルの実現が絶望的になりました。膨大な予算を使ってきたのに実質的な成果はゼロといってもよく、根本的な見直しはまぬがれないでしょう。

最終更新:2016/2/18(木) 3:31
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