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世代交代に成功したパ 交流戦前半終了

2013/5/30(木) 20:13配信

THE PAGE

プロ野球交流戦が折り返した。

 「絶対的な投手力が違うわ。まあ見ててみ。セには阪神、巨人以外にパと対抗できるチームがない。またパが勝つから」。

 交流戦前に元阪神、オリックス監督の岡田彰布氏から、そんな予言を聞かされていたが、途中経過では見事に的中している。その折り返し地点でパが交流戦順位の上位を独占した。

 交流戦のチーム成績を並べてみるとパ高セ低の勢力図の理由は明確である。※表参照


 阪神の打線はいいが、投手が踏ん張りきれない(抑えの久保の不振)。広島の防御率トップは、多分に交流戦中に防御率0点台の野村の投球が影響しているもので、打線が不調で投打にアンバランスである。そうなると勝っているパのチームが防御率、チーム打率共に上位にいくのは当然である。そして傾向として顕著なのがパの打撃力である。

 交流戦の個人打撃成績に目を向けるとさらによくわかる。交流戦首位打者は、打率4割を超えているソフトバンクの内川聖一。トップ10を見渡して、セ・リーグから入っているのは、中日のルナ、DeNAのブランコと、阪神の新井貴の3人だけ。さらにトップ20に広げると、阪神のマートン、巨人の松本が入っているだけで、20人中15人がパの打者で占められている。

 セパでプレー経験のある評論家の与田剛氏は、パのチームが折り返し地点で上位を占めた原因は、世代交代の成功にあるのではないかと分析している。

 「数字を詳しく検証していませんでしたが、パの打者がセの投手を打ち込んでいる印象が強いですね。僕は、パのロッテや西武、楽天など上位にいるチームの選手起用に理由があると思っています。大胆に若手を使っています。特にロッテの伊東監督はオフに大きな戦力補強もなかった点を逆に利用して若手にチャンスを与えた。野手では鈴木、投手では西野。大嶺も見事に交流戦で復活させました。若い選手の活躍が目立っています。若さの長所は思い切りの良さです。データなどが、あまり役に立たない出たとこ勝負の交流戦では、そういう怖さを知らない積極性が結果につながっているんじゃないでしょうか」。

 千葉ロッテからは、打撃トップ20に入団2年目でポジションを手にした鈴木大地(打率326、5打点)や4年目の清田育宏(打率366、8打点)らが名を連ねている。若手に刺激されるように今江、井口も揃って交流戦で5本塁打と絶好調である。

投手陣を見てもパの世代交代は際立っている。西武は4年目の菊池雄星が、その才能を開花させた。楽天も開幕投手をルーキーの則本が務め4年目の戸村健次が交流戦で2勝を挙げるなど内容はともかく結果を出している。
 
 一方のセ・リーグでは、巨人の菅野、ヤクルトの小川らの名前くらいしか挙がってこない。阪神の藤浪は、日ハムの大谷との対決で話題を集めたが、故障で出遅れて、まだ交流戦では1試合の登坂しかない。

 昨年までオリックスのヘッドコーチだった評論家・高代延博さんは、パの躍進の理由として「モチベーション」を挙げた。

 「去年までオリックスのコーチをしていたけれど、交流戦になると選手の集中力が違っていた。セのチームの敵地である甲子園や東京ドーム、神宮に行くと、お客さんの入りも違う。そういうセの舞台装置が選手のモチベーションアップにつながっていたような気がする。僕らがパ・リーグの時代は、オールスターこそが活躍して自己アピールをする場所だった。現在では、パの球団は地域密着に成功してセに負けない観客動員を実現している。もう人気のセ、実力のパという時代ではないけれど、まだパのチームの選手には、対セのチームへの対抗心や執着心が出ているんだと思う」。

 実力のパ、人気のパは今や死語だが、その根底には、まだセへのコンプレックスが残っていて、それが打倒セへのエネルギーにつながっているのだと、高代氏は見ている。

 「おそらく、交流戦の後半もパの勢いは止まらないかもしれませんね」。これが、与田、高代の両氏の共通意見。

 はてさて、ペナントレースにも大きな影響を与える交流戦の後半戦の勢力図は、果たして、どう塗り替えられるのか?

(文責・本郷陽一/論スポ)

最終更新:2015/7/5(日) 3:29
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