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モノ作り大国アメリカ復活の兆し、シェールガス革命が後押し

2013/6/4(火) 10:17配信

THE PAGE

 2012年2月、米ゼネラル・エレクトリック社(GE)の発表に、ケンタッキー州ルイビルの街は歓喜の声に包まれていた。

 一時は閉鎖寸前といわれたルイビル工場に総額10億ドルを投資し、中国などに移管していた生産を再び同工場に戻すことを決断したからである。

 米国の製造業ではこのところ、海外に移転した工場を米国内に戻す動きが活発になってきている。主役となっているのは重電や化学などいわゆる重厚長大産業。その背景には中国をはじめとする新興国の人件費高騰がある。そしてその動きを後押ししているのが、米国で始まったシェールガス革命である。

 一度は製造業を捨てた米国が再びモノ作り大国として復活しつつある。

米国の製造コストは中国よりも2割安い

 GEのルイビル工場は同社の家電部門の拠点として君臨してきた。冷蔵庫や食洗機などいわゆる白物家電を生産してきたが、とりわけ同工場の名物といわれていたのが電気温水器である。

 米国の家には、たいがいGEの電気温水器が備え付けられている。常に暖かいお湯が出る住宅は豊かなアメリカの象徴ともなってきた。だがここ10年はグローバル化の波に揉まれ、他の製品と同じく中国へと生産が移管されていた。

 だが中国の労働コストや輸送コストの増加が激しくなってきたことから、温水器の製造を米国内へ戻すことになった。米国はもともと製造業の国なので、大量の熟練労働者が存在している。しかも同工場には最新の生産ラインが導入されており、生産効率が極めて高い。

 中国では10時間かかっていた温水器の組み立てがルイビルの工場では2時間で済むという。冷蔵庫については9時間が3時間に短縮され、工場内の必要スペースも80%以上削減された。製造コストはトータルで中国よりも2割安くなっている。GEでは、国内生産比率を現在の50%程度から75%まで引き上げる予定だ。

米国企業以外の動きも活発

 GE以外の企業でも製造拠点の米国回帰が進んでいる。化学大手のダウ・ケミカルはリストラの一環で世界各地の工場を閉鎖する一方、テキサス州には40億ドルを投じて大規模な新工場を建設している。米国産の安価なシェールガスを原料に使いエチレンの米国生産を強化したい意向だ。

 米国に工場を建設しているのは、米国企業だけではない。英ロールスロイス社はジェット・エンジンの部品を製造しているバージニア州の工場について生産設備の増強を決定した。また独シーメンス社はノースカロライナ州にタービン製造拠点を設立、中東やメキシコへの出荷を開始している。トヨタ自動車もケンタッキー州の工場を増設し、高級車レクサスの現地生産を開始する予定だ。

 米国ではリーマンショック以降、民間企業の設備投資が大幅に落ち込んでいたが、2011年にようやくリーマンショック前の水準まで復活した。海外からの直接投資も増加しており2012年には約1670億ドル(約17兆円)が米国企業に対して投資された。海外からの直接投資残高は2.8兆ドル(約283兆円)に達している(図1)。

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最終更新:2015/12/18(金) 3:01
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