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イチから分かる、西武HDと米サーベラスの争い

2013/6/24(月) 10:36配信

THE PAGE

 西武鉄道やプリンスホテルなどを経営する西武ホールディングス(西武HD)と米国の投資ファンドであるサーベラスが、西武HDの株主総会を前に激しく対立しています。サーベラス側は西武HDに対して公開買い付け(TOB)を仕掛けていましたが、目標の12%には遠く及ばず買収はほぼ失敗に終わっています。6月25日に開催される株主総会ではサーベラス側が求めている要求は通らない可能性が高くなってきました。

 サーベラスにしてみれば、西武HDの経営陣が言うことを聞かないので「丸ごと買収してしまうぞ」とプレッシャーをかけ、要求を通そうとしたわけですが、そもそも両者はなぜ対立しているのでしょうか?

出資のきっかけは西武の経営危機

 もともと西武HDとサーベラスは友好的な関係でした。サーベラスが西武HDに出資するきっかけになったのは、西武グループの経営危機がきっかけです。西武グループは創業家出身でカリスマ的な存在であった堤義明氏がオーナーとして君臨していました。堤氏は政治家とのパイプも太く、かつては自民党の総裁選の結果に影響を与えたともいわれる人物でしたが、2004年に有価証券報告書の虚偽記載の責任を取ってグループ・トップを辞任、翌2005年には証券取引法違反で逮捕されてしまいました(執行猶予付きの有罪が確定)。西武グループは上場廃止となりましたが、同社には多額の不動産融資の焦げ付きがあり、同社のメインバンクであったみずほグループの管理下に置かれることになったのです。現在の西武HDの後藤社長はみずほグループ出身です。

 みずほグループが西武グループの経営再建を実施するにあたり、出資者として協力したのが米国の投資ファンドであるサーベラスでした。サーベラスは約1040億円を出資し、西武HDはこの資金で何とか再建をスタートすることができたのです。

問題の本質は上場価格

 両者が対立するきっかけになったのは、西武HDが再上場する計画が具体化してきた2013年のことです。証券会社がはじき出した再上場価格は1200円から1500円でしたが、サーベラスが出資した価格は920円程度。投資から7年経過していることを考えると、サーベラス側としては採算が合いません。後藤社長にもっと高い価格でなければ上場を取りやめにして欲しいと依頼したものの、後藤社長は株価は市場が決めるものとしてサーベラスの要求を拒否。これをきっかけに両者の泥仕合が始まったというわけです。

 サーベラスが要求した不採算路線の廃止や球団売却も含むプロ野球事業の見直しは、言ってみれば売り言葉に買い言葉。この問題の本質は上場価格にあります。確かに価格は最終的に市場が決めるものですが、証券会社の算定というものは恣意的でブレがあるのも事実。せっかく投資してくれたサーベラスに対して、損をしようが知ったことではない!というスタンスではサーベラスも感情を害するでしょう。西武側には「和」の精神が少し足りなかったかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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最終更新:2016/2/3(水) 4:11
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