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ダル、岩隈の球宴欠場の大人の事情

2013/7/16(火) 15:18配信

THE PAGE

 先週、ダルビッシュ有が故障者リストに入り、16日(日本時間17日)に行なわれるオールスターゲームで投げられなくなった。首から背中に掛けての張りが原因だと発表されているが、これを多くは疲労のためだと捉えている
 5月5日のレッドソックス戦では127球を投げた。同月16日のタイガース戦では130球。この頃、球数が多すぎるのではと随分ロン・ワシントン監督に対して批判が集まり、「あとで、故障したどうするんだ?」という声さえあった。
 今回、その通りとなったのだから、あの時、球数の多さを指摘したメディアにしてみれば、「ほら、言った通りじゃないか」というところか。
 ただ、これではどうしても話が上手すぎるというか、逆に疑わしい。
一部米メディアはもちろん疑っていて、大人の事情があるのだろう、というささやきが聞こえる。
大人の事情とは、分かりやすく言ってしまえば、ダルビッシュ有がオールスターで投げれば疲れる。そうすると後半戦に影響が出るかもしれない。チームとしてはそれを避けたいので、故障者リストに入れて、ダルビッシュがオールスターに投げることを阻止した、ということになる。
 随分大胆だが、チーム最高経営責任者のノーラン・ライアンのことを知るあるベテラン記者は、「ライアンなら、やりそうなことだ」と話した。

 そんなことがあり得るのか?残念だが、同じようなことは散見される。
 オールスターに出場するマリナーズの岩隈久志やタイガースのジャスティン・バーランダーが今年、オールスター2日前の日曜日に投げたのは、おそらくたまたまではない。以前は、球宴2日前に先発した投手は、自動的にオールスターでは投げられないルールになっていた。それが変わって、1イニング、もしくは20球程度なら許されることになった。
 しかし、日曜日に登板した投手がオールスターで登板しないのは不文律として残り、今回、ア・リーグを指揮したジム・リーランド監督は、「使わない」と明言している。
 だからチームは、オールスターに選ばれるような投手をオールスター2日前に投げさせるように調整して、オールスターのマウンドに上がることを阻止したりもするのだ。
 結局、どのチームも本音ではエース級の投手にオールスターでは投げて欲しくないと考えている。わずかな休み。出来れば、しっかりそこで休んで、後半戦をフレッシュな状態で投げさせたい。
 それはオールスター軽視ともとれるが、残念ながらその傾向はチームだけでなく、選手にもそういうところが見られるようになって久しい。

 2010年、アナハイムで行なわれたオールスターゲームの試合後、イチローがこんな話をしていたのを思い出した。
 「満足というか、何も気持ちの高ぶりがないとかっていうのがあるなら、それは、オールスターにというより、その人自身の何かに変化があるというか、オールスターに責任があるわけではなくて、その人の人間の何かにある」
 さらに彼は、こう続けた。
 「野球に対する情熱とか、何かが、過去とは違っているという証ですから、それは、それまでの人ってことじゃないですか」
 何かが薄れていく状況にイチローは寂しげだったが、様々な大人の事情は今もまかり通る。
 ダルビッシュのケースの真相は闇の中だが、ダルビッシュ本人はこの日、ホームランダービーに先立って行なわれた会見で、「大丈夫。きょうでも試合で投げられる」と話し、さらにこんな意味深な言葉を残している。
 「今までの蓄積疲労とかそういうのでもなくて、それはまあ、いろいろなことがあるので」
 裏で力が働いたとしたらそれは、ダルビッシュにはコントロールは出来ないものだろう。オールスターという華やかな舞台裏で行なわれる駆け引き。ダルビッシュと岩隈は明日、2人揃ってダグアウトからの観戦となる。
(文責・丹羽政善/米国在住ライター)

最終更新:2015/2/13(金) 3:59
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