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アベノミクス 賃金をめぐる「不都合な真実」/物価上昇との関係は?

2013/7/23(火) 12:09配信

THE PAGE

 日銀の量的緩和策導入から3カ月が経過し、長く続いてきたデフレ傾向に転換の兆しが見え始めた。基本的には円安を背景にした輸入物価の上昇が全体を引っ張る構図だが、物価上昇の可能性が見えてきた事実は大きい。

 市中では早くもインフレによって生活が苦しくなることを懸念する声が出始めている。政府はこうした声にかなり敏感になっており、今秋をメドに最低賃金を2%上昇させる意向を固めた。ただ、経営側が最低賃金の上昇に強く反対していることや、政府が賃上げを企業に強要するとインフレを一気に加速させるとの懸念があり、スムーズに進むのかは不透明だ。

 いずれにせよ輸入物価の上昇は確実に製品の最終価格を押し上げつつあり、このまま円安が続けばいずれ2%の物価上昇を実現できる可能性が高まってきている。だがここで問題となるのは、物価上昇がどのようにして実体経済の成長に結びつくのかだ。物価を政策目標として掲げたまではよいが、物価上昇でどのような経済効果を期待するのか、政府は明確に説明できていない。

アベノミクスの本質は実質賃金の低下?

 アベノミクスの核心ともいえるこのメカニズムをめぐっては、いくつかの考え方が存在している。一般的には名目上の物価上昇があれば、株価や不動産価格が上昇し資産効果によって消費が増えると説明されることが多い。だがそれだけで日本経済を再び成長軌道に戻すことが困難であることは多くの人が認識している。

 物価上昇が成長をもたらす現実的メカニズムとしては、以下のふたつが考えられる。ひとつは物価上昇期待(インフレ期待)が発生することで実質金利が低下し、融資が増大、設備投資が回復するというもの。もうひとつは、インフレ期待によって実質賃金が低下し企業の競争力が回復するというものである。実質賃金の低下は失業率を低下させるという効果もあるとされている(フィリップ曲線)。

 特に後者は多くの国民にとって非常に重要な問題である。政府がもしこれを意図しているのであれば、インフレに対応して給料が上がらないことはあえて黙認されることになる。インフレ傾向が続く中、実質賃金を抑制することは、持続的な成長を可能にする有力な処方箋であるともいわれるが、これについて我々はどう解釈すべきなのだろうか?

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最終更新:2016/1/28(木) 4:44
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