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アベノミクス 賃金をめぐる「不都合な真実」/物価上昇との関係は?

2013/7/23(火) 12:09配信

THE PAGE

80年代の米国は実質賃金の抑制が高成長をもたらした

 実質賃金の低下が持続的な成長をもたらした例としては、80年代以降の米国がよく引き合いに出される。1970年代の米国は物価上昇と景気低迷が併存するスタグフレーションに苦しんでいた。労働組合の力が強く賃上げが何度も行われたが、物価もその分上昇し生活は楽にならなかったといわれる。
 
 1981年に就任したレーガン大統領は、大胆な規制緩和と減税を軸した経済政策(レーガノミクス)を提唱、米国経済を見事に復活させた。多少の踊り場はあったものの、リーマンショックの発生まで長期にわたって好調な経済が続いたのである。米国の新しい黄金期ともいえるこの期間は、意外にも実質賃金が一貫して抑制されている。その代わり、失業率の低下も進み、ほぼ完全雇用が実現された(図1)。

実質賃金が上がった方が経済成長する?

 だが米国のこうした経済環境は、必ずしも普遍的なものとはいえない面がある。実質賃金が上昇した方が、高い経済成長を実現できたケースも多数存在する。図2は主要国(+スペイン)における実質GDP、実質賃金、失業率の関係をグラフにしたものである。期間は2000年から2012年までの13年間である。

 横軸が実質GDP成長率の平均値、縦軸が実質賃金の平均上昇率、円の大きさが失業率を示している。この図を見るとおおまかではあるが、経済成長と実質賃金の上昇率には相関がありそうである。つまり実質賃金が上がった方が経済成長にはプラスということである。

 ただ個別に見ると状況はバラバラだ。英国は高い成長と実質賃金の上昇を実現できているが、現在はインフレ傾向が強く国民の不満は高まっている。フランスは物価上昇と経済の停滞に加えて高い失業率が大きな社会問題となっている。米国は先ほど述べたように、低賃金だが高成長と低失業率となっている。最近は経済が絶好調で完全雇用といわれるドイツも、長期で見るとそれほどの高成長と低失業率を実現できているわけではないことが分かる。

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最終更新:2016/1/28(木) 4:44
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