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IT化で変貌する米盗聴の手口、スノーデン事件で浮き彫りに

2013/8/7(水) 13:58配信

THE PAGE

 米CIA(中央情報局)の元職員エドワード・スノーデン容疑者(現在はロシアに一時亡命中)が、米国の情報機関による広範囲な市民監視を暴露した事件は、全世界の人々に大きな衝撃を与えました。同時にこの事件は、情報技術(IT)の進歩が、当局による情報活動のあり方を根本的に変えつつあるという事実を浮き彫りにする結果となりました。

 スノーデン容疑者によると、米NSA(国家安全保障局)は「PRISM」と呼ばれるコンピュータ・システムを保有しており、広範囲にわたって電子メールや通話などを盗聴していたということです。こうした監視活動は米国だけにとどまらず、英国やドイツの情報機関とも連携が行われており、欧州の人々の通話やメールも米国の監視対象になっていたことが明らかになっています。

 CIAやNSAといった情報機関がしばしば電話の盗聴などを行っていたことは関係者の間ではよく知られた事実です。外交交渉などが行われる際に、交渉相手の国の外交官の通話を盗聴するのはごく日常的なことといわれています。日本が米国と貿易交渉を盛んに行っていた1990年代、日本の担当官庁の通話の多くが米国の情報機関によって盗聴されていたことはもはや公然の秘密といってよいでしょう。

大量のメールや通話記録を利用

 しかし同じ盗聴といっても、アナログ時代においては相当の手間と人員を必要としました。1人の人物を追跡するのに何人もの要員や多数の機材が必要となるため、広範囲に市民を監視することは事実上困難だったのです。何らかの疑いのある人物をまず特定し、その人物の通話を集中して盗聴するというやり方が多く用いられました。

 しかしデジタル化が進んだ現在では状況が大きく異なっています。膨大な電子メールの情報から関連のあるキーワードを抽出したり、無数の電話の発着信記録から、ある人物とある人物の関係性を割り出すといった作業がコンピュータ・システムを活用することで容易に実現できてしまいます。

 ここでは不特定多数の市民をまず網羅的に監視し、その中からテロリストや犯罪者となる可能性がある人物を探し出すといったことが行われているのです。この活動が行き過ぎてしまうと、疑わしい人を監視するのではなく、とりあえず全国民を監視するという状況にもなりかねません。

 米国は世界でもっとも民主的な国のひとつですが、かつてFBI(連邦捜査局)は政治家に対する盗聴を非合法に行ってスキャンダルを握り、政治家を脅迫して予算の増額や公務員の待遇維持を要求するといった恥ずべき過ちも犯しています。ITを使った広範囲な監視が可能になっているという現状は、こうした危険な監視活動にもつながりかねず、あらたな社会問題といえるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/9(水) 4:29
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