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ニュースでよく見る「基礎的財政収支」、ほんとに黒字化できるの?

2013/8/9(金) 10:10配信

THE PAGE

 日本政府が多額の借金を抱えていることはよく知られた事実です。政府は財政再建を実現するために、2015年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)赤字額の対GDP比を2010年度の半分に、さらに2020年度までには基礎的財政収支を黒字化するという目標を掲げています。しかし、そのためには支出を相当切り詰めなければならず、本当に実現できるのか疑問の声も上がっています。

税収だけで支出をカバーできれば黒字

 基礎的財政収支とは、簡単に説明すると、借金や利息の支払などを除外し、純粋な支出と収入で見た時に国の会計がどうなっているかを示した指標です。借金をせずに税収だけで支出をカバーすることができれば、基礎的財政収支は黒字ということになります。支出が税収を上回れば赤字になります。

 日本政府は基本的に借金に依存していますから、基礎的財政収支は常にマイナスの状態が続いています。

 もう少し具体的に見てみましょう。2013年度予算における政府の歳入額は約93兆円あります。このうち、税収によるものは約47兆円しかありません。残りの46兆円はすべて借金です。一方歳出のうち、国債の利払いなどを除いた支出は約70兆円あります。47兆円の税収に対して70兆円の支出ですから、差し引きすると23兆円の赤字となります。これが現在の日本の基礎的財政収支ということになります。

 2010年度の基礎的財政収支は現在とほぼ同じ水準でしたから、2015年度までにこれを半減させるためには、大ざっぱにいうと10兆円程度支出を減らさなければならないのです(実際の基礎的財政収支の計算はもう少し複雑になります。また、日本政府が掲げている目標は、国だけでなく、地方分も合わせたものになります)。

目標の実現は非常に難しい

 しかしながら、この目標の実現は非常に難しいといわれています。政府の支出の中で最も多いのは社会保障費で全体の3割を占めています。次に多いのは国債費と地方交付税交付金で両者を足すと4割に達します。つまり年金や医療といった社会保障や借金の返済、地方への補助で全体の7割以上を占めており、これらの支出は容易に減らすことができません。しかも高齢化の進展で社会保障費は最低でも毎年1兆円ずつ増加していきます。支出は増えるばかりなのです。

 一方、来年4月には消費税の増税が予定されていますが、これが実施されると約6兆円の税収増が見込めます。しかしこれを実現したとしても、目標の半分程度にしかなりません。基礎的財政収支を本気で黒字にするためには、消費税率を20%近くにまで引き上げる必要があるとの試算もあるくらいです。

 もし高い経済成長を長期にわたって継続することができれば、税収が大幅にアップし、消費税の大幅な増税をせずに基礎的財政収支を改善させることも可能でしょう。しかし日本経済の現状ではそれも難しいかもしれません。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/1(月) 2:41
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