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新記録の秘話 星野がマー君を説教した日

2013/8/10(土) 0:09配信

THE PAGE

おまえなら30勝できる!

 マー君がプロ野球新記録となる開幕16連勝を果たした。
 8月9日、Kスタ宮城で行われた、対ソフトバンク戦に先発した田中将大が92球で4安打無失点のまま7回で降板すると、8、9回を小山伸、青山、金刃、斎藤隆の4人が決死のリレー。マー君の勝ち投手の権利を守った。打線の援護に完封リレー。楽天の一丸ムードを象徴するような記録達成ゲームとなった。昨年から続いている連勝「20」も鉄腕、稲尾和久、巨人の松田清の記録に並んだそうである。

 ひとつの歴史が動いたと言ってもいい。私は、その一報を目にした時、楽天の星野監督から聞いていた“マー君を説教した日“の秘話を思い出した。
 あれは、去年の暑い日だった。 
 マー君が、夏以降、肉体的な不調もあって勝てなくなった時期である。
 星野監督は、珍しく佐藤道ピッチングコーチと2人で、ブルペンに出向いて田中将大投手をつかまえた。田中を一人前と認め、ほぼ放任主義を貫いてきた星野監督が、そのエースと、直接対話を持つことは異例の出来事だった。

 「もし今のおまえのボールがオレにあれば30勝できる」
 そういう謎かけのような問いかけから説教は始まったという。
 「おまえが兄と慕うダルビッシュを見てみろ。アメリカに行って大きく変わった。進化したと言っていい。ストレートだけでは通用しないと知ると、頭を使ってピッチングをやっとるやないか。稲尾さん、杉浦さんの中4日、中3日という時代と違って、今は中6日も余裕がある。ピッチャーとしての環境は、はるかに恵まれている。確かにバッティングマシンや練習量が増えたことで、バッターのバッティング技術は向上している。1、2番もブンブンと振ってくる。昔のように下位打線に対して楽にピッチングのできるという時代ではない。しかし、おまえのボールがあって、頭を使えば、もっと勝てる」

 マー君は神妙な顔をして、その話に耳を傾けていたという。
 「つまり配球とリズムや。今のおまえに足りないものは」
 そして星野監督は、もう一度、念を押した。
 「言うとくぞ。おまえならば20勝、30勝を現代野球においてやれるんや」
 今季のマー君のピッチングは、まさに配球とリズムである。
 球威に溢れる直球を軸に、今季は、ドロンと大きな緩急を使うカーブを覚えた。他球団のスコアラーに聞くと、このカーブが今季のマー君のミソだとも言う。
そこに伝家の宝刀のスライダーに、タテにヒュンと落ちる140キロ台のスプリット。
一人ひとりの考えた配球に加えて素晴らしいのが、ゲームトータルのリズムというかマネジメントである。つまり走者のいない場面、点差、打順などを考慮しながら、メリハリを利かしているのである。まさに星野監督が“説教した一日”が、そのまま、マー君にピッチングになっているわけである。

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最終更新:2016/1/2(土) 3:30
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