ここから本文です

阪神・新井貴の打撃はなぜV字回復したか

2013/8/12(月) 8:46配信

THE PAGE

水谷打撃コーチとのマンツーマン

 私の新井貴浩に対する取材歴は古い。
 1998年当時、ドラフトの2週間前までは、駒沢大の新井は、広島の獲得リストになかった。結局、6位で入団した選手が、その後、ホームランタイトルを獲得してFAで阪神に移籍、2度のCS進出に貢献した。だが、昨季は、4番の座を弟に明け渡して、打率・250、9本、53打点と不振に苦しんでいた。しかし、今季は、8月12日、現在で打率・286、12本、48打点。得点圏打率は・329である。
 新井のV字回復の秘密を探りに私は取材に走った。

 まず広島コーチ時代から旧知の阪神の水谷打撃コーチをつかまえた。水谷コーチは、昨秋のコーチ就任と同時に3人のバッティングの建て直しを自らに課した。新井兄弟、マートンという、2012年シーズンに苦しんだ3人である。
 水谷打撃コーチは、去年の新井貴のDVDを見直した。
 「10日ごとにフォームがコロコロと変わっていたんです」という。
  確かに去年も引退した金本知憲を交えて新井と酒を飲む度に、そういう話をよくした。
 「フォームが変わり過ぎじゃないか?」
 私が、そう尋ねると「Aロッドのフォームを参考しているんですが……」というような悩みをよく聞いた。

 水谷打撃コーチは、すぐに新井を呼んで直接、話をした。
 「去年のような状態ならば、今年は2軍だから」
 「ダメなら2軍」―。ベテランの新井への2軍とは、クビを勧告するようなものである。4番を打った新井に対しての容赦のない最後通告だった。
 そこからマンツーマンでフォームの見直し計画がスタートした。
 キャンプでは午前8時から若手に混じって早出特打を指示した。
 「とにかく悪い時は、左肩が上がってアッパーになり、タイミングがずれ、ボール球を振るというパターン。右膝、つまり軸に体重が乗らずに力が分散していた。とにかく右膝の内側に意識をおいて、そこに体重を乗せること。それを徹底して、トップの位置も決まり出した。センターを中心に無理なく打て、結果が伴うようになってきた。軸がしっかりしているから崩されずボールも振らなくなった」

1/2ページ

最終更新:2015/10/16(金) 4:56
THE PAGE