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自衛隊に 「海兵隊機能」を持たせる意味とは?

2013/8/21(水) 11:55配信

THE PAGE

 日本の自衛隊が大きく変わろうとしています。安倍政権は従来の政府見解では憲法9条に抵触するとされていた集団的自衛権(他国と共同で防衛する権利)の行使について容認する方向で議論を開始しました。防衛省ではこれを受けて、専守防衛を基本とした従来の装備や編成の見直しを始めています。

海軍と陸軍の機能を併せ持つ

 7月末に提出された防衛大綱(日本の防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準を示す指針)の中間報告では、海兵隊的な水陸両用機能の確保などこれまでにない概念が盛り込まれました。海兵隊というのは日本人にはあまり馴染みがありませんが、米国では機動力のある即時兵力として重要な役割を果たしています。
 
 海兵隊は海軍と陸軍の機能を併せ持ったような軍隊で、有事の際の即時対応や上陸作戦の実施などを得意としています。米国の海兵隊は太平洋戦争中、ガダルカナルや硫黄島など旧日本軍が展開していた島々への上陸作戦で大きな成果を上げ、軍の中でも中心的な役割を担うようになりました。

 現代では、艦艇と地上部隊、さらにはヘリコプターなどの航空機を多角的に組み合わせた機動的な作戦を数多く行っています。沖縄に駐留している米軍の多くは海兵隊員で、彼らは朝鮮半島や中国大陸で戦争が起こった場合、真っ先に駆けつける役割を担っています。

島々の奪還が狙いだが

 日本の自衛隊に海兵隊的な機能を持たせるのは、尖閣諸島などの島々が他国に奪われた場合、これを奪還することができるようにするためです。ただし主な目的がそうであっても、海兵隊的な機能を持つということは、日本の自衛隊がアジア地域にいつでも自由に部隊を展開できることを意味しています。

 また米国は軍のコンパクト化を進めており、沖縄に駐留している海兵隊の兵力を大幅に削減しています。米国は海兵隊が沖縄で保持していた戦力の一部を日本の自衛隊に肩代わりしてもらうことを望んでおり、日本が保有するであろう海兵隊的な部隊は、米国の海兵隊との共同作戦を実施することが想定されています。このため政府としては集団的自衛権の憲法解釈をあらかじめ変更しておく必要があるわけです。

 現在、沖縄では新型輸送機オスプレイの配備をめぐって反対運動が起きていますが、オスプレイは実は日本の自衛隊でも導入を検討しています。オスプレイは海兵隊での使用を主に想定した機材であり、従来のヘリコプターを使った作戦の何倍もの機動力を発揮することができます。日本でのオスプレイ導入と海兵隊的な機能の確保は実はセットになっているのです。

 これまで日本では軍隊について議論することはタブー視されてきましたが、逆にこれがある種の逃げ道にもなっていました。しかし、集団的自衛権の憲法解釈を変更し、海兵隊的な機能を持つことになれば、この問題から逃れることはできなくなります。アジア各国に対して日本がどのような姿勢で臨むのか、はっきりと示していくことが求められることになるでしょう。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/18(木) 4:48
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