ここから本文です

日本の宇宙開発、国策でいいのか/イプシロン打ち上げ

2013/8/27(火) 10:09配信

THE PAGE

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月27日、新型固形燃料ロケット「イプシロン」を鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる予定でしたが、ロケットの姿勢に異常が検知されたため、直前で中止しました。イプシロンは従来のロケットと比べて大幅な低コスト化と運用の簡素化を実現しており、日本が本格的に衛星ビジネスへ参入するための切り札になると期待されています。一方、全世界的には宇宙開発の民営化が急ピッチで進んでおり、日本の宇宙開発のあり方についても再検討が求められています。

 イプシロンは従来のロケットと比べて徹底的な低コストが図られており画期的なロケットといえます。既存の技術を流用し開発コストを大幅に抑えたほか、打ち上げシステムを抜本的に見直し、パソコンに近い制御方式を採用して管制の省力化に成功しました。理論的にはネットワークにパソコンを接続するだけで、打ち上げの制御が可能となるため、これまで2か月かかっていた打ち上げ準備を1週間程度に短縮することが可能となっています。

 イプシロンの打ち上げコストは約38億円を見込んでおり、大型ロケットと比べると約3分の1の水準です。量産を実施できれば30億円以下での打ち上げも可能といわれており、この水準であれば国際的な市場でも十分に戦っていくことができるでしょう。

 しかし、日本が国策としてロケット開発を続けていくことの是非については、いろいろな考え方があります。各国が国費を投じてロケット開発を行う理由としては、1)潜在的な核ミサイル開発能力を確保するため、2)宇宙ビジネスを振興するため、3)純粋な科学目的、4)国威発揚などがあります。

JAXA「民営化」という選択肢

 以前はロケット技術は非常に高度で門外不出のものでしたが、最近は他の分野と同様、宇宙関連技術についてもコモディティ化が進んでいます。北朝鮮のような国がロケットを打ち上げるなどということは以前では考えられなかったことなのですが、最近ではこれが当たり前になっています。このため米国などの先進国は、国が開発を主導する時代は終了したと判断しており、宇宙事業の民間への委託が急ピッチで進んでおり、宇宙開発ベンチャーがたくさん生まれています。国策としての宇宙開発は、どちらかというと、途上国の国威発揚を目的としたものに変貌しつつあるのです。

 日本は高度な技術を持つ国であり、本来であれば米国のようにロケット技術をよりオープンに展開し、関連のベンチャーをたくさん輩出するような状況になっていておかしくありません。その意味で、かつての宇宙開発事業団と宇宙開発研究所を合併させたJAXAという組織をスリム化したり民営化するというのもひとつの考え方です。

 しかし、JAXAは、合併後も両団体の組織や施設がそのまま残っており、発射施設も種子島(宇宙開発事業団)と内之浦(宇宙開発研究所)の2本立てです。ロケットも大型の液体燃料ロケット(宇宙開発事業団)と固形燃料ロケット(宇宙開発研究所)の2系統のままとなっています。宇宙開発全体を今後どのように進めていくのか幅広い議論が必要です。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/21(木) 4:43
THE PAGE