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ベンチャー投資減税って効果あるの?/安倍政権の成長戦略

2013/8/29(木) 10:34配信

THE PAGE

 政府は成長戦略の第2弾として秋にも投資減税策を打ち出す予定ですが、そのひとつとしてベンチャー投資に対する優遇措置が検討されています。ベンチャー投資を活発化させ、新しい技術やサービスの登場を促すことで、経済成長の起爆剤にしようという目論見です。しかしこれまでの日本のベンチャー育成策の結果を見る限りは、この施策は効果を発揮しない可能性が高いかもしれません。

 日本は先進諸外国に比べてベンチャー企業の活動が著しく低調であることが知られています。20年近く前からこの問題は指摘されており、経済産業省を中心に様々なベンチャー振興策が計画、実施されてきましたが、ほとんど効果を上げていません。その理由は完全には解明されていませんが、ベンチャー企業の活動が低調である真の原因を正しく認識できていなかった可能性が指摘されています。

 日本では、ベンチャー企業の活動が活発にならないのは、ベンチャー企業に投資する資金が不足していることが原因であると認識されてきました。このためベンチャーキャピタルのファンドを整備するための法律を作ったり、国が予算を付けて投資ファンドに出資するなどの措置が取られましたが、状況はほとんど変わっていません。ベンチャー企業に対する投資金額は米国などと比較すれば低い水準ですが、イタリアと比べるとはるかに高く、必ずしも投資資金が不足しているわけではありません。

 しかもグローバルな時代ですから、もし日本のベンチャー企業に資金ニーズがあるにも関わらず、国内の投資資金が不足しているという状況なのであれば、海外ファンドがこぞって出資するはずです。そうなっていないという状況を考えると、ベンチャー企業が活動しにくい他の理由が存在していることになります。

ベンチャー企業の製品を買わない大企業

 実際、起業家からは、日本では資金調達ではなく製品やサービスの売り込みに大きなカベが存在するとの意見が多く聞かれます。つまり日本の大企業があまりにも保守的で、ベンチャー企業が提供する製品やサービスを「前例がない」という理由で決して採用しないというのです。これはデータにも表れており、大企業において革新的な事業を手がける割合は、米国や中国の企業の6分の1程度しかありません。つまり、いくらベンチャー企業が革新的な製品やサービスを開発しても、それを購入して利用する大企業が存在していないのです。

 このような状況でいくら投資減税策を講じても、ベンチャー企業は育ちません。優遇措置に惹かれてベンチャー投資をしても、その後会社が継続できなければ投資家は損をしてしまいます。「だからベンチャーはダメなんだ」といって、ますます敬遠されることになってしまうかもしれません。大企業の競争を促し、ある程度のリスクを覚悟してもベンチャー企業の技術を積極的に採用するような市場環境を作っていかないと、適切な効果を上げることはできないのです。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2014/11/18(火) 3:52
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